“逸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はや33.3%
26.9%
いっ13.0%
いち6.4%
はず5.1%
いつ3.7%
そら3.7%
はづ2.0%
のが1.7%
はぐ1.2%
0.7%
0.7%
それ0.5%
0.2%
はやま0.2%
0.2%
ゐつ0.2%
イツ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はやりに逸つた傳七郎の短刀は逃げる又六を追つて、グサツと其の首筋へ。まことに傳七郎は火のやうな激しい氣性の男だつたのです。
彼女は朝田の話を横道にらし得る自信を持てなかった。失礼な! 失礼な! と心の中で叫びつづけながら、彼女は黙りつづけた。
猟奇の街 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
わが手のかぬ先にわが失えるものはすでに多い。わが手筆を持つの力を得てよりいっするものまた少からずと云ってもうそにはならない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
トラ河豚の連れている七人や八人のものでは、所詮、うごかし得ないことをかれもいちはやく覚ったらしい。にわかに身をうつして
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
川音と話声とまじるのでひどく聞きづらくはあるが、話のうちに自分の名が聞えたので、おのずと聞きはずすまいと思って耳を立てて聞くと
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
且つまた、本当の安楽は、世の見て以ていつとするところに存在せずして、見て以てろうとするところに存在するのではございますまいか。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
図書 わたくしこぶしに据えました、殿様が日本一とて御秘蔵の、白い鷹を、このお天守へそらしました、その越度おちど、その罪過でございます。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
健は、何十通の古手紙を出してみて、漸々やうやう一枚、消印スタンプはづれてゐる郵券を見つけ出した。そしてそれを貼つて送つた。ある雨の降る日であつた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
この船をのがしたら二度と機会は来ないかもしれない。あの荒れたとぼしい、退屈な、長い長い日が無限につづくことを思えばたまらない。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ただ、舟を去る時には、ふとまぶたが熱くなりかけた。白拍子の姉妹の母親を見て、六条の家から逃げて来る途中、はぐれてしまった自分の母の安否が
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下り松の辻はすぐ下であり、その辻には、吉岡方のぐれた人数が四、五十名もいて、彼が今、小高いところに立った姿を見つけると、一斉にわッとここへ寄せて来た。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家持は、此が多聞天タモンテンか、と心に問ひかけて居た。だがどうも、さうは思はれぬ。同じ、かたどつて作るなら、とつい聯想がれて行く。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
辟易たじろぐ拍子に、ズドンと一発! 夫人の銃弾が背後うしろの扉にそれて、濛々と白煙が立ち込める。床にころがった拳銃ピストルを、素早くくつで払い退ける。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
一尺のものを目当てに釣るに、三尺なるが懸る故にらすなり。されども、この三尺なるは、頻々ぴんぴん懸るものに非ざれば、之を挙げ得て、真の釣の楽みあるなり。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
覺まされなば一大事と思へばそばへ立寄てやいばもつしつかとゞめ聲をひそめて云るやうむすめはやまる事なかれ委細ゐさいの事は書置かきおきにてちく諒知しようちなしたりし流石さすがは大藤武左衞門の娘だけあり無き名をおひ遺恨ゐこん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その争いが烈しくなるにつれて、前者は後者をののしって、あいつらがそんなにるのは喰うに困るからだと言った。そして、それは事実でもあった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
けれども其の埒外らちぐわいゐつすることの出來ないのが運命うんめいなのだから爲方しかたがない、性格悲劇せいかくひげきといふ戯曲ぎきよく一種いつしゆがあるが、僕等が丁度てうど其だ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
イツセリ。天ハ我ヲ利セズ。愚戦グセン固着コチヤクシテ、愚ヲ重ネンヨリハ、カズ、一タビ退イテ、再起ノ日ヲ計ランニハ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)