“なり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナリ
語句割合
服装16.4%
14.4%
11.9%
9.4%
姿7.1%
扮装4.5%
4.1%
3.1%
2.4%
身装2.0%
2.0%
1.4%
風俗1.4%
服裝1.3%
衣服1.3%
風采1.2%
風体0.9%
風姿0.9%
0.8%
0.7%
身長0.7%
0.7%
衣装0.7%
体躯0.6%
形姿0.6%
扮裝0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
衣裳0.6%
容姿0.5%
形装0.4%
0.4%
姿態0.4%
0.4%
容體0.2%
態度0.2%
0.2%
体格0.2%
姿勢0.2%
身体0.2%
風態0.2%
0.2%
0.1%
體格0.1%
0.1%
姿形0.1%
字形0.1%
容子0.1%
形体0.1%
形容0.1%
形態0.1%
形裝0.1%
形體0.1%
打扮0.1%
旅装0.1%
服粧0.1%
服飾0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
着物0.1%
行装0.1%
衣類0.1%
装束0.1%
装風俗0.1%
身裝0.1%
風體0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ふみ「およしや、そこ開けて遣っておくれ……此方こっちだよ、此方へお這入りなさい……あらまア穢い服装なりでマア、またお出でなすったね」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
六日間も自転車競争場の桟敷で、さばけたなりをして酒の肴のザリ蟹を剥いてるところなぞ一緒にいてぞっとする程好かったですよ。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
女房も女房なり亭主も亭主也、男女同権也どだんじようけんなり五穀豊穣也ごこくほうじようなり、三銭均一也せんきんいつなり。これで女房が車からりて、アイと駄賃だちんを亭主に渡せば完璧々々くわんぺき/\/\
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
そんな事を考えているうちに、白髪しらがの老人が職人尽しょくにんづくしにあるようななりをして、一心に仮面めんを彫っている姿が眼にうかぶ。頼家の姿が浮ぶ。
なあおすみ、お豊がこう化粧おつくりした所は随分別嬪べっぴんだな。色は白し——姿なりはよし。うちじゃそうもないが、外に出りゃちょいとお世辞もよし。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「そこらをぶらつくうちにはまた出会いましょう。あの扮装なりです……見違えはしませんから、わざわざ引返すのも変ですから。……」
これ吉瑞きちずゐなりけん、此年此家のよめ初産うひざん男子なんしをまうけ、やまひもなくておひたち、三ツのとし疱瘡はうさうもかろくして今年七ツになりぬ。
お通はまたたきもせずみまもりながら、手も動かさずなりも崩さず、石に化したるもののごとく、一筋二筋頬にかかれる、後毛おくれげだにも動かさざりし。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
越後の上杉家とは、それから間もなく、上野国こうずけのくにの国境で、小競こぜりあいがあり、甲州の武田信玄たけだしんげんは、久しくなりをひそめていたを鳴らして
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私はどんな醜い女とでも喜んで歩くのだが、どんな美しい女でもその女が人眼に立つ奇抜な身装なりをしている時は辟易するのがつねであった。
世相 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
衣服もわざと同一おなじなりで、お縫が附添い、身を投げたのはここからという蓬莱橋から、記念かたみの浴衣を供養した。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところへ何処かの奥さんが来て、お母さんと談話はなしを始めた。やはり見物に来たんだ。御大層ごたいそうなりをしている。ちんを抱いている。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
華美はで御生活おくらしのなかに住み慣れて、知らず知らず奥様を見習うように成りましたのです。思えば私は自然と風俗なりをつくりました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
腰までしかない洗晒あらひざらしの筒袖つゝそで、同じ服裝なりの子供等と共に裸足はだしで歩く事は慣れたもので、頭髮かみの延びた時は父が手づからつて呉れるのであつた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そうするとこれを聞いたこなたのきたな衣服なりの少年は、その眼鼻立めはなだちの悪く無い割には無愛想ぶあいそう薄淋うすさみしい顔に、いささか冷笑あざわらうようなわらいを現わした。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小春の雲の、あの青鳶あおとびも、この人のために方角むきを替えよ。姿も風采なりも鶴に似て、清楚せいそと、端正を兼備えた。襟の浅葱あさぎと、薄紅梅。まぶたもほんのりと日南ひなたの面影。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
松坂木綿まつざかもめんのよれよれになったやつへ煮しめたような豆しぼりというやくざな風体なりをしているのだから、女が面くらったのもあたりまえで、立て膝のまま
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「見すぼらしい風姿なりをしてはならない。」とお葉はその時思ひながら、少しも悲しいことはなかつたのであつた。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
なぜなら、今そうやってひざまずいたなりは、神に対し、仏に対して、ものを打念うちねんずる時の姿勢であると思ったから。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
晴着はれぎを着た、女中のやうななりをした、お内儀かみさん風の、まだ若くて大層縹緻きりやうのよい、髮と眼の黒い、活々いき/\とした顏色の女だ。
元気のいい、身長なりよりも大きな声で、いつも廻って来る居酒屋の小僧が、怒鳴っていた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口に尾をふくみて、たがなりになり、いなずまほど迅く追い走ると言ったが、全くうそで少しも毒なし、しかし今も黒人など、この蛇時に数百万広野に群がり、眼から火花を散らして躍り舞う
此人は衣装なりつくらず外見みえも飾らずごく朴実律義で、存魂ぞつこん嬢様に思込んでゐたがちつとも媚諛こびへつらふ容子を見せなかつた。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
大きな体躯なりをして子供らしい奴等だ。それでお春さんは彼様あんなに乃公を好遇よくしたんだな。可愛がられるのもいいが、面当つらあてに可愛がられるんじゃ一向ありがたくも何ともない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
御前はそんな形姿なり地体じたいどこへ、行ったのぞいと聴くと、今芹摘せりつみに行った戻りじゃ、和尚さん少しやろうかと云うて、いきなりわしのたもとどろだらけの芹を押し込んで、ハハハハハ
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『あら、鮎釣には那麽扮裝なりして行くわ、皆。……昌作さんは近頃毎日よ。』と言つてる時、思ひがけなくも礫々ごろ/\といふ音響が二人の足に響いた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「うむ。長かったのう。あの歌をば聞きおるうちに俺あ、悲あしゅう、情のうなった。この間死んだかかあが、真夜中になると眠ったなりにアゲナ調子で長い長い屁をばきよったが」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私は大の字なり凝然じっとしたまま、まぶたを一パイに見開いた。そうして眼のたまだけをグルリグルリと上下左右に廻転さしてみた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ふりかえって東を見れば、㓐別谷りくんべつだにしきるヱンベツの山々をまえて、釧路くしろ雄阿寒おあかん雌阿寒めあかんが、一はたけのこのよう、他は菅笠すげがさのようななりをして濃碧の色くっきりと秋空に聳えて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
当家の望月様へ甲府の御勤番と言って立派な衣裳なりをしたお武士さむらいが二人、槍を立て家来を連れて乗込んで来ましたから、不意のことで当家でも驚きました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
容姿なりから名前まで聞くんです。
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
うしろから主人が来た。主人のひげは十月の日に照らされて七分がた白くなりかけた。形装なりも尋常ではない。腰にキルトというものを着けている。くるま膝掛ひざかけのようにあらしまの織物である。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まだ錆も出ぬ様子ゆえ、ピタリと鞘に納めて懐へ入れ、部屋着のなりで屏風の許へ来て立って居りました。
たけはすらりとした方だが、そう大きくもなく、姿態なりがほどよく整っていた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お京はお高僧頭巾こそづきん目深まぶか風通ふうつうの羽織着ていつもに似合ぬなりなるを、吉三は見あげ見おろして、お前何処どこへ行きなすつたの、今日明日は忙がしくておまんまを喰べる間もあるまいと言ふたでは無いか
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鹽梅あんばいにも一わたしおほきくなつてれゝばいが、まつた斯麽こんなちひさな容體なりをしてるのは可厭いやだわ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
燈火ともしびに対して、瞳すずしゅう、鼻筋がすっと通り、口許くちもとしまった、せぎすな、眉のきりりとした風采とりなりに、しどけない態度なりも目に立たず、繕わぬのが美しい。
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
結句の、「なりまさに」は、「なりまさね」で、「ね」と「に」が相通い、当時から共に願望の意に使われるから、この句は、「業務に従事しなさい」という意となる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
岩公の阿爺ちゃん体格なりは小さい人の好いじいさんだが、昔は可なり遊んだ男で、小供まで何処かイナセなところがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
女のくちびるかたく結ばれ、その眼は重々しく静かにすわり、その姿勢なりはきっと正され、その面は深く沈める必死の勇気にみたされたり。男はしおれきったる様子になりて
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
少し来ては都合の悪い事があって来ませぬ、お前さん私は今まで泣いたことはありません、又大きな身体なりをして泣くのは見っともねえから、めろ/\泣きはしませんけれども、ほかに身寄兄弟もなし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
俺らは、手前てめえらの正体なんか知りたくもねえが、その風態なりでは、いくら夜中でも、江戸の町あ歩けねえから、いいか、ここを出たら庭で三人いっしょに袋を脱いで、桜の木へ掛けて行くんだ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
『そんなおほきななりをしてさ!』(あいちやんはよくひます)『くなんテ!おだまんなさい、よ!』つても矢張やつぱりおなじやうにいてて!なみだの一ながした揚句あげく
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
然処しかるところ私兼て聞及居候一事有之、辞安の人となりに疑を懐居いだきをり候。其辺の事既に御考証御論評相成居候哉不存候へ共、左に概略致記載入御覧候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
此三十金は必ずや事ある日のために蔵してゐて、敢て自家のために徒費しなかつたものであらう。榛軒の生涯は順境を以て終始したので、その人となりを知るべき事実が少い。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
れにやされつとも、んでちからつをかつたかんな、仕事しごとぢや卯平うへいつをかつたが、かうだえけ體格なりして相撲すまふぢやれにやかたでぺた/\だ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ねつたがそれでれぐつと身體からだにやちからつけつちやつたな、所爲せゐだな十五んちなほつたな、そんだからぐにむぎの八はずん/\けたな、らこんで體格なりはちつちえがつをかつたな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
みんな継ぎはぎだらけのひどいなりをしているし、痩せほそって顔色が悪く、末っ子の又次のほかはみな病人のようにみえた。
姿形なりにしてからが、チチコフ同様、あまり肥ってもいなければ痩せてもいなかったことを容認しない訳にはゆかなかった。
薄日はしたがまだけぬ、道芝に腰を落して、お鶴はくの字形なりに手を小石。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
子は父を思ふとそのまゝの容子なりで下へ降りた。
(新字旧仮名) / 横光利一(著)
形体なりは私が寝ていて想像したよりも大きかったが、果して全身雨に濡れしょぼたれて、泥だらけになり、だらりと垂れた割合に大きい耳からしずくたら
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
願ひますと云ば手先のものなんだぐず/\云ふ事たアネヘ貴樣は怪しい奴に相違さうゐない夜中無提灯むぢやうちんにて其樣そんな大包みを背負せおひ形容なりにも似合にあは鮫鞘さめざや脇差わきざしをさし是は大方其處そこらで盜み來りしならん殊に草鞋わらんぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それからすみれ蒲公英たんぽぽ桔梗ききょう女郎花おみなえしきく……一年生ねんせい草花くさばなせいは、いずれもみな小供こども姿すがたをしたものばかり、形態なり小柄こがらで、のさめるようないろ模様もよう衣裳いしょうをつけてりました。
成程なるほど銘仙めいせんだの御召おめしだの、白紬しろつむぎだのが其所そこ一面いちめんらしてあつた。宗助そうすけこのをとこ形裝なり言葉遣ことばづかひ可笑をかしいわりに、立派りつぱ品物しなもの脊中せなかせて歩行あるくのをむし不思議ふしぎおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
後藤は是々其者の名前は何と申やと云に新藤市之丞と申せしと聞やいなや後藤扨とは云ながら稽古けいこ形體なりにて玄關げんくわんへ出來り是は/\めづらしや市之丞殿能こそまゐられたりしてまた長兵衞殿清兵衞殿も同道どうだうか何れもめづらしき人々先々此方へ/\と云ながら一間ひとまへ通しやれ/\久々ひさ/″\なりとたがひに一べつ以來のじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きっとその時代の故実を引っ張り出して面白い打扮なりをやったのであろう、など私は話したことでありました。
洋服、脚絆きゃはん草鞋わらじ旅装なりで鳥打ち帽をかぶり、右の手に蝙蝠傘こうもりを携え、左に小さな革包かばんを持ってそれをわきに抱いていた。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
小歌が莞爾にっこりと笑った時だけ、不知不識しらずしらずの間に自分も莞爾にっこりと笑い連れて、あとはただ腕組するばかりのことだから、年の行かぬ小歌にはたえかね接穂つぎほなく、服粧なりには適応にあわず行過た鬼更紗の紙入を
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
アノネ貴君あなた、今日のお嬢さまのお服飾なりは、ほんとにお目に懸けたいようでしたヨ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
又た義実よしざねが自白のことばに「かくてかの玉梓たまづさが。うらみはこゝにあきたらず。八房の犬となりかはりて。伏姫をて。深山辺みやまべに。隠れて親に物を思はせ。」云々しか/″\
五二百姓おたからつとめてたなつものを出し、工匠等たくみらつとめてこれを助け、商賈あきびとつとめてこれかよはし、おのれおのれが五三なりをさめ家を富まして、みおやを祭り子孫のちはかる外、人たるもの何をかさん。ことわざにもいへり。
惚れたからは、なりでも肺病でも構わんのでなくっちゃ、妙ちゃんの相談は決してせん。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
キリストは見窄らしい着物なりで説教を始めた。
二人‥‥1‥‥ (新字旧仮名) / 李箱(著)
するといつの間にかうしろに立って居りました人の行装なりは、二十四ふしの深編笠を冠り、鼠無地の着物に同じ色の道行振みちゆきぶりを着て、木剣作りの小脇差をし、合切袋を肩に掛けて、余程旅慣れて居ると見え
それとお衣類なりにちがったとこがあるばかりでございます。晋齋老人もこの場の様子が不思議に思召す。何うもお若さんが二人になってる理由わけがお解りになりません。
まづ一やう来復らいふくして、明治三十一年一ぐわつじつの事で、下谷広小路したやひろこうぢとほる人の装束なりは、フロツクコートに黒の山高帽子やまたかばうしいただき、玉柄ぎよくえのステツキをたづさへ、仏蘭西製ふらんすせいくつ
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
と佐兵衛がのぞきこんだ、——尾羽うち枯らした装風俗なり月代さかやきひげもぼうぼうに伸びているが、まさしく仁木兵馬ひょうまである。
初午試合討ち (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
窓外では、見窄みすぼらしい身裝なりをした朝鮮工夫が道路の修繕をしてゐた。僅かばかりの石を入れた籠を重さうに脊負つてノロ/\と坂を上つて來る工夫もあつた。
新婚旅行 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
途で乞食のやうな風體なりをしてゐる人に出逢つた。羊羹色もところ斑らになつた古ソフトを被つてゐた。色のうすはげた淺黄の大風呂敷で何かを背負つてゐた。
三太郎の日記 第三 (旧字旧仮名) / 阿部次郎(著)