姿態なり)” の例文
目口にそそぐ浪を払い払いする手が、乱れた乳のあたりに萎々なえなえとなると、ひとつ寝の枕に、つんとねたように、砂のふすまに肩をかえて、包みたそうに蓑の片袖を横顔にと引いた姿態なり
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たけはすらりとした方だが、そう大きくもなく、姿態なりがほどよく整っていた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
近所へ家を借りて別居している母のお常が、野良支度ではあったが、いつものように身綺麗な、五十を半ば過ぎているにも拘らず、まだ四十台の女のような姿態なりで、ヨシ子の頭部を冷やしていた。
(新字新仮名) / 犬田卯(著)