鰐鮫わにざめ)” の例文
この下には雑多な岩が並ぶとみえて、ちらちらちらちらと玉のすだれを百千にくだいたよう、くだん鰐鮫わにざめの巌に、すれつ、もつれつ。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
○「いえ、そら久しい以前あと絵に出た芳年よしとしいたんで、鰐鮫わにざめを竹槍で突殺つッころしている、鼻が柘榴鼻ざくろッぱなで口が鰐口で、眼が金壺眼かなつぼまなこで、えへゝゝ御免ねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
春の海いまをちかたの波かげにむつがたりする鰐鮫わにざめおもふ
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
所持せし故にや加田かだうらにて切害せつがいされ死骸しがいは海中へいれ申候しか相見え申さず此浦このうらには鰐鮫わにざめすみ候故大方はさめ餌食ゑじきと相成候事と存られ候衣類いるゐならびかさは血に染り濱邊に打上うちあげ是有候故濱奉行へ御屆に相成候かつ村中不便ふびんに存じ師匠ししやう感應院のはかそば塚標はかじるし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
真中まんなか鰐鮫わにざめくちをあいたやうなさきのとがつたくろ大巌おほいは突出つきでると、うへからながれてさツはや谷川たにがはが、これあたつてふたつわかれて、およそ四ぢやうばかりのたきになつてどツちて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちら/\ちら/\とたますだれ百千ひやくせんくだいたやう、くだん鰐鮫わにざめいはに、すれつ、もつれつ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
真中にまず鰐鮫わにざめが口をあいたような先のとがった黒い大巌おおいわ突出つきでていると、上から流れて来るさっとの早い谷川が、これに当ってふたつわかれて、およそ四丈ばかりの滝になってどっと落ちて
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)