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わにざめ
所持せし故にや
加田の
浦にて
切害され
死骸は海中へ
入申候しか相見え申さず
此浦には
鰐鮫住候故大方は
鮫の
餌食と相成候事と存られ候
衣類并に
笠は血に染り濱邊に
打上是有候故濱奉行へ御屆に相成候
且村中
不便に存じ
師匠感應院の
墓の
側へ
塚標を
真中に
先づ
鰐鮫が
口をあいたやうな
尖のとがつた
黒い
大巌が
突出て
居ると、
上から
流れて
来る
颯と
瀬の
早い
谷川が、
之に
当つて
両に
岐れて、
凡そ四
丈ばかりの
瀧になつて
哄と
落ちて
ちら/\ちら/\と
玉の
簾を
百千に
砕いたやう、
件の
鰐鮫の
巌に、すれつ、
縺れつ。