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鞍上
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あんじょう
ふりがな文庫
“
鞍上
(
あんじょう
)” の例文
鞍上
(
あんじょう
)
人
(
ひと
)
なく、
鞍下
(
あんか
)
に馬なく、青葉ゆらぐ台町馬場の芝草燃ゆる大馬場を、投げ出された黒白取り取りの
鞠
(
まり
)
のように駈け出しました。
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼の今日ある第一の功労者といえば
赤兎馬
(
せきとば
)
であろう。その赤兎馬もいよいよ健在に、こよいも彼を
螺鈿
(
らでん
)
の
鞍上
(
あんじょう
)
に奉じてよく駆けてゆく。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ベートーヴェンやショパンを感ずる前に、ピアニストの指を感じさせる場合の方が多いのに、バックハウスに至っては、
鞍上
(
あんじょう
)
人なく
鞍下
(
あんか
)
馬無しだ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
それっきり自分は口をつぐんでしまったが、たった一瞬間にして通り過ぎただけの白馬
鞍上
(
あんじょう
)
の紳士の姿は、一生涯忘れられないほど
爽
(
さわや
)
かに眼に残った。
大人の眼と子供の眼
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
鞍上
(
あんじょう
)
の人も
固
(
もと
)
より
咽喉
(
のど
)
が渇いているであろうが、馬も烈日の威に堪えず、
喘
(
あえ
)
ぎ喘ぎ歩みつつある。広漠たる夏野にさしかかって、どこで水に逢著するかわからぬ。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
▼ もっと見る
残る一つの「
鞍上
(
あんじょう
)
」はちょっとわれわれに縁が遠い。これに代わるべき
人力
(
じんりき
)
や自動車も少なくも東京市中ではあまり落ち着いた気分を養うには適しないようである。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
鞍上
(
あんじょう
)
人なく、
鞍下
(
あんか
)
馬なし矣。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
黒鹿毛の
蹄
(
ひづめ
)
をあげて、
無
(
む
)
二
無
(
む
)
三にかけちらしながら、はやくも
鞍上
(
あんじょう
)
の高きところより、右に左に、
戒刀
(
かいとう
)
をふるって
血煙
(
ちけむり
)
をあげる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鞍上
(
あんじょう
)
と
厠上
(
しじょう
)
の場合にはこれが明白であるが
枕上
(
ちんじょう
)
ではこれが明白でないように見える。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
将門は、馬寄せから、
鞍上
(
あんじょう
)
の人となって、館を出て行った。馬の上から振り向いて、家人の中の新妻へ、明るい一言を残した。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
三上
(
さんじょう
)
」という言葉がある。
枕上
(
ちんじょう
)
鞍上
(
あんじょう
)
厠上
(
しじょう
)
合わせて三上の意だという。「いい考えを発酵させるに適した三つの環境」を対立させたものとも解釈される。なかなかうまい事を言ったものだと思う。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
半弓、吹矢、笛太鼓、
蹴毱
(
けまり
)
、
酒瓢
(
さけふくべ
)
などを持ちかざし、おそろしく派手に飾った化粧馬の
鞍上
(
あんじょう
)
には、例の兼軍奉行の義弟、
殷直閣
(
いんちょっかく
)
がニタニタと乗っていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
双方の駒は
泡
(
あわ
)
を噛んで、いななき立ち、一上一下、
剣閃槍光
(
けんせんそうこう
)
のはためく下に、駒の八
蹄
(
てい
)
は砂塵を蹴上げ、
鞍上
(
あんじょう
)
の人は
雷喝
(
らいかつ
)
を発し、勝負は容易につきそうもなかった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜色
(
やしょく
)
をこめた草原のはてを
鞍上
(
あんじょう
)
から見ると——はるかに
白々
(
しらじら
)
とみえる
都田川
(
みやこだがわ
)
のほとり、そこに、なんであろうか、一
脈
(
みゃく
)
の
殺気
(
さっき
)
、形なくうごく
陣気
(
じんき
)
が民部に感じられた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憮然
(
ぶぜん
)
として、
鞍上
(
あんじょう
)
から月を仰いだ。そしてしきりと、謙信は、片目をしばたたいた。額から頬へとかけて浴びている血しおが
睫毛
(
まつげ
)
に乾きかけて眼を塞いでしまうらしかった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高綱はまだ、
焦
(
じ
)
れ狂う生唼の
鞍上
(
あんじょう
)
に、歯がみをしながら手綱をさまざまつかいわけていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また彼のすがたが星空を
衝
(
つ
)
いてじっと
鞍上
(
あんじょう
)
に坐ったまま、しばらく動きもせぬために、それを仰いで、前後にきらめく諸将の
甲冑
(
かっちゅう
)
も、あとに続く
夥
(
おびただ
)
しい鉄甲の影、旗の影、馬匹の影も
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
楽進の
真眉間
(
まみけん
)
に立ったので、楽進は、槍を投げて、
鞍上
(
あんじょう
)
からもんどり打った。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
都へ入ると武将はみな一様に大宮人の生活や
粧
(
よそお
)
いをまねしたがり、堂上の若公卿ばらは、逆にかれら武人の
鞍上
(
あんじょう
)
の姿だの、
小鷹
(
こたか
)
を据えたり、弓矢を飾り持つ風俗などに大かぶれの有様なのだ。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何か用もなげに通りすがった人のように、平然と
鞍上
(
あんじょう
)
に揺られていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
介三郎と格外は、左右から身を
扶
(
たす
)
けた。けれど、あぶみへちょっと足が掛かると、さすがに鍛練されたからだはまだ残っている。あざやかに
鞍上
(
あんじょう
)
にまたがり、すぐ馬首を立てて春風に道を求めている。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
張飛は、馬の側へきて、やや不平そうに、
鞍上
(
あんじょう
)
の玄徳へいった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
共に、
鞍上
(
あんじょう
)
の人となり、手綱をならべて、はや行きかける。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵は、敢て辞退せず、
鞍上
(
あんじょう
)
の人になって
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と尊氏は、
鞍上
(
あんじょう
)
のまま。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鞍
漢検準1級
部首:⾰
15画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“鞍”で始まる語句
鞍
鞍馬
鞍壺
鞍部
鞍馬山
鞍掛
鞍替
鞍馬寺
鞍山站
鞍下