はら)” の例文
ムシャクリ出しやアがッて、己の身体へ傷までつけてけえすような事をしたアだもの、若草だっても此の怨みをはらさずに置くものか
膝下しっか奉仕ほうじすることとなすべきなど語り聞えて東京に帰り、ず愛児の健やかなる顔を見て、始めて十数日来のさをはらしぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
その故に彼は外に出でてうさはらすにいそがはしきにあらずや。されども彼の忘れずねぐらに帰りきたるは、又この妻の美き顔を見んが為のみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
右衞門佐若年のために政事向不行屆とあつて、領國を召し上げられるなら、力に及ばぬ。無實の罪だけははらして進ぜたい。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
手は疑ひをはらさんため彼を助けさぐり得て、目の果し能はざるつとめを行ふ、この時わが爲せることまたかゝる人に似たりき
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
だが、よく見ると、念仏踊りであつたゞけに、名古屋山三郎の亡霊現れて、お国の踊りを見て、妄執をはらして去ると言ふのは、やはり供養の形の念仏である。
一日散歩のついで、吾友の上をおもひつゝ、かの猶太廓ゲツトオに入りぬ。若し期せずして其人に逢はゞ、我友の怒をはら便たよりにもならんとおもひき。されど我は彼翁をだに見ざりき。
其傍に光輝こうき燦爛さんらんたるものあるをしものありと、此等の迷霧めいむはらさしめんとのこころざしは一行の胸中に勃然ぼつぜんたり、此挙このきよや数年前より県庁内けんちやうないに於ておこなはんとのありしもつね其機そのきを得ず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
お政はまた人の幸福しあわせをいいだして羨やむので、お勢はもはや勘弁がならず、胸に積る昼間からの鬱憤うっぷんを一時にはらそうという意気込で、言葉鋭く云いまくッてみると、母の方にも存外な道理が有ッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
誰も好んでそれをはらそうとするものがない。
私はそれで貴方にゆるされた積で喜んで死にますから。貴方もどうぞそれでもう堪忍かんにんして、今までの恨ははらして下さいまし、よう、貫一さん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遠からず父上母上を迎へ取り、膝下しつか奉仕ほうじすることとなすべきなど語りきこえて東京に帰り、先づ愛児のすこやかなる顔を見て、始めて十数日来すうにちらいさをはらしぬ。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
私も以前は、旅の途すがら、海原を見はらし、美しい花野の展けて居る場処に来た旅人たちが、景色にうたれて、歌を詠じたものと考へて居た。併し其は単なる空想であつた。
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
遺恨をはらした其の上にていさぎよく切腹いたそうか、くては卑怯ひきょうと云われようか、いっそ此の場で切腹いたそうかと思案にくれて居りますところへ、何処どこで聞付けましたか下男森松が駈付けまして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さて自由の風に心はらして
売られた人達を苦めるやうなそんな復讐ふくしゆうなどは為たくはありません、唯自分だけで可いから、一旦受けた恨! それだけはきつはらさなければかん精神。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遺恨うらみはらさばやと、とき王鬼わうおに
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この遺恨うらみはらさばやと
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)