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霜解
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しもどけ
ふりがな文庫
“
霜解
(
しもどけ
)” の例文
来年の二月頃までは
霜解
(
しもどけ
)
がして草鞋でも草履でも
辷
(
すべ
)
って歩けねえ、霜柱がハア一尺五寸位もありやんして、其の霜解の中を歩いてまいり
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
閑話休題
(
それはさておき
)
日和下駄の効能といわば何ぞそれ不意の雨のみに限らんや。天気つづきの冬の日といえども山の手一面赤土を
捏返
(
こねかえ
)
す
霜解
(
しもどけ
)
も何のその。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大
(
おほ
)
きな
藁草履
(
わらざうり
)
は
固
(
かた
)
めたやうに
霜解
(
しもどけ
)
の
泥
(
どろ
)
がくつゝいて、それがぼた/\と
足
(
あし
)
の
運
(
はこ
)
びを
更
(
さら
)
に
鈍
(
にぶ
)
くして
居
(
ゐ
)
る。
狹
(
せま
)
く
連
(
つらな
)
つて
居
(
ゐ
)
る
田
(
た
)
を
竪
(
たて
)
に
用水
(
ようすゐ
)
の
堀
(
ほり
)
がある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
土藏と土藏の間、家の後ろなどには、滅茶滅茶に足跡が亂れて居りますが、
霜解
(
しもどけ
)
頃ではあり、多勢の雇人に踏み荒されて、何が何やらわかりません。
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此処辺
(
こゝいら
)
は冬になると処々ジメジメした
霜解
(
しもどけ
)
の土が終日乾かず、執拗く下駄の歯に粘り着いて歩くのも相応に骨だが、それでも舌の根は休ませなかった。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
永いようで短い冬は、事の起りそうで事の起らない自分の前に、
時雨
(
しぐれ
)
、
霜解
(
しもどけ
)
、
空
(
から
)
っ
風
(
かぜ
)
……と既定の日程を平凡に繰り返して、かように去ったのである。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
旅館は出たがどこに行こうというあてもなかった葉子はうつむいて
紅葉坂
(
もみじざか
)
をおりながら、さしもしないパラソルの石突きで
霜解
(
しもどけ
)
けになった土を
一足
(
ひとあし
)
一足突きさして歩いて行った。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
水の流るゝ
田圃
(
たんぼ
)
に
下
(
お
)
りたり、富士大山から
甲武連山
(
こうぶれんざん
)
を色々に見る原に上ったり、
霜解
(
しもどけ
)
の里道を往っては江戸みちと彫った古い路しるべの石の立つ街道を横ぎり、
樫
(
かし
)
欅
(
けやき
)
の村から麦畑
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
家に入るところの道は
霜解
(
しもどけ
)
がして靴がぬかつた。
松樹
(
まつのき
)
はもとの
儘
(
まま
)
だが、庭は広げられてあつた。大正十年の夏に僕夫婦の一夜
宿
(
とま
)
つた部屋には
炬燵
(
こたつ
)
がかけてあつて、そこに諏訪の諸君があたつてゐた。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
霜解
(
しもどけ
)
の門辺に人の行きなやみ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「潜るやうな穴はない。垣の上へ蒲團でも掛けたら、越せないこともあるまいが、向う側はお寺の境内で、
霜解
(
しもどけ
)
がひどいから、この五六日人間の入つた樣子はない」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
霜解
(
しもどけ
)
の
庭
(
には
)
を
掻
(
か
)
き
立
(
た
)
てゝ
居
(
ゐ
)
た
鷄
(
とり
)
がくるりと
指
(
ゆび
)
を
捲
(
ま
)
いては
足
(
あし
)
を
擧
(
あ
)
げて
驚
(
おどろ
)
いた
樣
(
やう
)
に
周圍
(
あたり
)
を
見
(
み
)
て
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
幸い天気も好い、
霜解
(
しもどけ
)
は少々閉口するが道のためには一命もすてる。足の裏へ泥が着いて、
椽側
(
えんがわ
)
へ梅の花の印を押すくらいな事は、ただ
御三
(
おさん
)
の迷惑にはなるか知れんが、吾輩の苦痛とは申されない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ガラツ八の八五郎は、
霜解
(
しもどけ
)
のひどい庭を指しました。それに昨夜は暖かで
凍
(
こほ
)
らなかつたので、下手人が外から來たとすれば、足跡を殘さずには近づけなかつたでせう。
銭形平次捕物控:161 酒屋忠僕
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「先刻の通りの嚴重な
足拵
(
あしごしらへ
)
でしたよ、泥だらけの
草鞋
(
わらぢ
)
で、此邊は
霜解
(
しもどけ
)
がひどいから」
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
葱
(
ねぎ
)
の青さ、抜き捨てた大根の白さなど、ところどころに色彩の変化はありますが、だいたいは
霜解
(
しもどけ
)
と空っ風に荒された畑地で、歩くと不気味な足跡が一つ一つ印されるような土地です。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
霜
常用漢字
中学
部首:⾬
17画
解
常用漢字
小5
部首:⾓
13画
“霜解”で始まる語句
霜解け