トップ
>
霜枯
>
しもが
ふりがな文庫
“
霜枯
(
しもが
)” の例文
広い縁の向うに
泉水
(
せんすい
)
の見える部屋だ。庭いっぱい、
黄金
(
こがね
)
いろの液体のような日光が
躍
(
おど
)
って、
霜枯
(
しもが
)
れの草の葉が
蒼穹
(
あおぞら
)
の色を映している。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
霜枯
(
しもが
)
れそめた
矮
(
ひく
)
い
薄
(
すすき
)
や
苅萱
(
かるかや
)
や他の枯草の中を、人が踏みならした路が
幾条
(
いくすじ
)
か
麓
(
ふもと
)
から
頂
(
いただき
)
へと通うて居る。余等は其一を伝うて上った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
羽根
(
はね
)
は、
車
(
くるま
)
の
上
(
うえ
)
からさびしい
霜枯
(
しもが
)
れの
野原
(
のはら
)
を
見
(
み
)
ました。
田圃
(
たんぼ
)
の
間
(
あいだ
)
を
通
(
とお
)
る
道
(
みち
)
は
霜解
(
しもど
)
けがして、ぬかるみになっていました。
東京の羽根
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
右近
(
うこん
)
の馬場を
右手
(
めて
)
に見て、何れ昔は
花園
(
はなぞの
)
の里、
霜枯
(
しもが
)
れし
野草
(
のぐさ
)
を心ある身に踏み
摧
(
しだ
)
きて、
太秦
(
うづまさ
)
わたり
辿
(
たど
)
り行けば、
峰岡寺
(
みねをかでら
)
の五輪の塔、
夕
(
ゆふべ
)
の空に形のみ見ゆ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
神田明神下の平次の家も、この二三日は御用が暇な上
懷中
(
ふところ
)
までが
霜枯
(
しもが
)
れで、外へ出て見る張合もありません。
銭形平次捕物控:262 綾の鼓
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
寂
(
さび
)
しい
霜枯
(
しもが
)
れの草に
蔽
(
おお
)
われた赤土の斜面と、その上に立っている小さな、黒い人影を予想しながら……。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
野菊やあざみはまだ青みを持って、黄いろく
霜枯
(
しもが
)
れた草の中に生きている。野菊はなお咲こうとしたつぼみがはげしい霜に打たれて
腐
(
くさ
)
ったらしく、小さい玉を結んでる。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と、冬日だまりに散らばう廃跡の侘しさを
咏
(
よ
)
むのであった。「侘び」とは蕪村の詩境において、寂しく
霜枯
(
しもが
)
れた心の底に、楽しく暖かい炉辺の家郷——母の
懐袍
(
ふところ
)
——を恋いするこの詩情であった。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
やがて
天塩
(
てしお
)
に入る。
和寒
(
わっさむ
)
、
剣淵
(
けんぶち
)
、
士別
(
しべつ
)
あたり、牧場かと思わるゝ
広漠
(
こうばく
)
たる草地一面
霜枯
(
しもが
)
れて、六尺もある
虎杖
(
いたどり
)
が黄葉美しく此処其処に立って居る。所謂
泥炭地
(
でいたんち
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
公園
(
こうえん
)
の
花壇
(
かだん
)
は
霜枯
(
しもが
)
れがしていて、いまは
赤
(
あか
)
く
咲
(
さ
)
いている
花
(
はな
)
もありませんでした。けれど、
黒
(
くろ
)
いやわらかな
土
(
つち
)
からは、
来年
(
らいねん
)
さく
草花
(
くさばな
)
の
芽
(
め
)
が、もうぷつぷつとみどり
色
(
いろ
)
に
頭
(
あたま
)
を
見
(
み
)
せていたのです。
朝の公園
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
十二月から三月一ぱいは、
夥
(
おびただ
)
しい霜解けで、草鞋か
足駄
(
あしだ
)
長靴でなくては歩かれぬ。
霜枯
(
しもが
)
れの武蔵野を乾風が
飈々
(
ひゅうひゅう
)
と吹きまくる。霜と風とで、人間の手足も、土の
皮膚
(
はだ
)
も、悉く
皹
(
ひび
)
赤
(
あか
)
ぎれになる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
霜
常用漢字
中学
部首:⾬
17画
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“霜枯”で始まる語句
霜枯時
霜枯三月