陰陽師おんみょうじ)” の例文
いんさまのおいのちをとって、日本にっぽんくにをほろぼそうとしたわたしのたくらみは、だんだん成就じょうじゅしかけました。それを見破みやぶったのは陰陽師おんみょうじ安倍あべ泰成やすなりでした。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
諺に「陰陽師おんみょうじ身の上知らず」といい、また「陰陽家は鬼のためにねたまる」というが、八卦を業とするもの、およびこれを妄信するもの、多くは貧困にして
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
北のかたを始め、わたくしどもまで心を痛めて、御屋形の門々かどかど陰陽師おんみょうじ護符ごふを貼りましたし、有験うげん法師ほうしたちを御召しになって、種々の御祈祷を御上げになりましたが
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
菅丞相の怨霊がしば/\枕頭ちんとうに現れて呪いの言葉を洩らすので、陰陽師おんみょうじや医師を招いて、さま/″\の祈祷、療治、灸治きゅうじ等をして見るけれども一向にき目がなく
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一説にこれは算所で、さんを置く陰陽師おんみょうじの部落であろうとの説もありますが、私はそれを信じません。
日本全国六十余州に散在している陰陽師おんみょうじつかさ中御門中納言なかみかどちゅうなごんの一族の姫、故あって民間に育ちたれば、その名もいやしく山尾とは云えど、性来うまれながらの義侠止められず、女ばかりの党を作り
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「母上殿から頼まれた陰陽師おんみょうじだ、あなたのなかにある男を封じるためです。」
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
師の日野民部忠経ただつねは、元南家なんけ儒生じゅせいで、儒学においては、ちょう陰陽師おんみょうじの安倍泰親やすちかに日野民部といわれるほどであったが、磊落らいらくたちで、名利を求めず、里にかくれて、児童たちの教育を
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほんの幕のような物を引きまわして仮の御禊場みそぎばを作り、旅の陰陽師おんみょうじを雇って源氏ははらいをさせた。船にやや大きい禊いの人形を乗せて流すのを見ても、源氏はこれに似た自身のみじめさを思った。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
陰陽師おんみょうじの播磨守泰親どのじゃ」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
またあるとき義家よしいえとき大臣だいじん御堂殿みどうどののお屋敷やしきへよばれて行きますと、ちょうどそこには解脱寺げだつじ観修かんしゅうというえらいぼうさんや、安倍晴明あべのせいめいという名高なだか陰陽師おんみょうじ
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
諺に「陰陽師おんみょうじ身の上知らず」といい、また「陰陽家は鬼のためにねたまる」というが、八卦を業とするもの、およびこれを妄信するもの、多くは貧困にして
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
神将 我々はあめした陰陽師おんみょうじ安倍あべ晴明せいめい加持かじにより、小町を守護する三十番神さんじゅうばんじんじゃ。
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
このほか遊女屋も、湯屋も、風呂屋も、陰陽師おんみょうじも、神子みこもあります。
「わしは、陰陽師おんみょうじではないから、そんな先のことは知らん……」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陰陽師おんみょうじなどが、皆それぞれに肝胆かんたんを砕いて、必死の力を尽しましたが、御熱はますます烈しくなって、やがて御床おんゆかの上までころび出ていらっしゃると、たちまち別人のようなしわがれた御声で
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
使 それは陰陽師おんみょうじの嘘でしょう。
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)