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けんばん
ふりがな文庫
“
鍵盤
(
けんばん
)” の例文
ピアノの
鍵盤
(
けんばん
)
とピアノの音とが、
銅鑼
(
どら
)
のクローズアップとその音とに交互にカットバックされるところなどあったように記憶する。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と
独
(
ひとり
)
ごちながら、いたずらの様に、白い
鍵盤
(
けんばん
)
をポンと叩いて見た。すると、ギーンという様な、少しも
余韻
(
よいん
)
のない、変てこな音が聞えた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして一緒に母屋へ戻ると、悦子だけを二階へ
遣
(
や
)
って、自分は応接間へ這入って行き、ピアノの前に腰掛けて
鍵盤
(
けんばん
)
の
蓋
(
ふた
)
を開けた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この満場
爪
(
つめ
)
も立たない聴衆の前で椿岳は
厳乎
(
しかつべ
)
らしくピヤノの
椅子
(
いす
)
に腰を掛け、無茶苦茶に
鍵盤
(
けんばん
)
を
叩
(
たた
)
いてポンポン鳴らした。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
あたかも
鍵
(
キー
)
のなくなってる
鍵盤
(
けんばん
)
の上では音が出ないように、彼女の言葉の一部は
喉頭
(
こうとう
)
から
脣
(
くちびる
)
へ来る途中で消えてしまった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
彼は一人きりである。ピアノを開き、
椅子
(
いす
)
を近寄せ、その上にすわる。肩が
鍵盤
(
けんばん
)
の高さになる。それだけでもう十分だ。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
果てはハンケチで
鍵盤
(
けんばん
)
を
蔽
(
おお
)
ったまま、その上から少しの間違いもなく難曲を征服し、さらに各種の楽器を演奏したうえ、奇術的にさえ見えることまでも試みたのであった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
彼女の
膝
(
ひざ
)
の、夏草模様に、実物
剥製
(
はくせい
)
の
蝶
(
ちょう
)
が、群れ飛んでいる
辺
(
あたり
)
を、
其処
(
そこ
)
に目に見えぬ
鍵盤
(
けんばん
)
が、あるかのように、白い細い指先で、軽くしなやかに、打ち続けているのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そしていったかと思うと、気が違ったようにピアノの
鍵盤
(
けんばん
)
が、鳴り出して……。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
新田
(
にった
)
は俊助にこう云ってから、三人を戸口に残して置いて、静にオルガンの側へ歩み寄った。が、令嬢はまるでそれに気がつかないかのごとく、依然として
鍵盤
(
けんばん
)
に指を走らせ続けていた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
好きな
義太夫
(
ぎだゆう
)
の
三味線
(
しゃみせん
)
などで、上手な
弾
(
ひ
)
き手の軽々した
撥
(
ばち
)
と糸とが
縺
(
もつ
)
れ合って離れないように、長く
喰
(
は
)
み出した白いカフスの手が、どこまで霊妙に
鍵盤
(
けんばん
)
を
馴
(
な
)
らしきっているかと思われた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
世界は
暗闇
(
やみ
)
だと——そして光明だと指は
鍵盤
(
けんばん
)
を走る……
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
ことに文句に絶えず頭を使いながらせき込んで印字機の
鍵盤
(
けんばん
)
をあさる時、ひき慣れないむつかしい楽曲をものにしようとして努力する時
芝刈り
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それは、音符をであり、音響をであり、
鍵盤
(
けんばん
)
の上を走る自分の指をであり、神経の弦を刺激する弦の震えをであり、快感をそそるそのくすぐりをであった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と、思うと、その白い
蝋
(
ろう
)
のような繊手は、直ぐ霊活な
蜘蛛
(
くも
)
か何かのように、
鍵盤
(
けんばん
)
の上を、
駈
(
か
)
け廻り始めた。曲は、露西亜の国民音楽家の一人として名高いボロディンの
譚歌
(
バラッド
)
だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
明智は客間の大きな立型ピアノの前に立って、
鍵盤
(
けんばん
)
の
蓋
(
ふた
)
を開けながら尋ねた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
辰子はすぐに眼を伏せたが、やがて俊助の方へ
後
(
うしろ
)
を向けると、そっとピアノの蓋を開けて、まるで二人をとりまいた、
薔薇
(
ばら
)
の匀いのする沈黙を追い払おうとするように、二つ三つ
鍵盤
(
けんばん
)
を打った。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また女の捨てばちな気分を表象するようにピアノの
鍵盤
(
けんばん
)
をひとなでにかき鳴らしたあとでポツンと一つ中央のCを押すのや
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼はその四、五歩にも足らない狭い室を
隅
(
すみ
)
から隅へ
大股
(
おおまた
)
に歩いた。そしてピアノの前に立ち止まり、
蓋
(
ふた
)
を開き、楽譜を繰り広げ、
鍵盤
(
けんばん
)
に手を触れて、言った。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
適当なスケールさえ作ればこれは可能になる。たとえばピアノの
鍵盤
(
けんばん
)
や、オストワルドの色見本は、言わばそういう方向への最初の試歩である。
感覚と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
魂はその眼を見て、快い和音と同じ印象を受ける。かかる内的の音楽は、それを表現する音楽よりもはるかに豊富である。そして楽器の
鍵盤
(
けんばん
)
は、それを演奏する鍵盤よりも劣っている。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鍵盤
(
けんばん
)
のアクションのぐあいの悪いのを一つ一つたんねんに検査して行く。これは見ていても気持ちのいいものである。かゆい所をかくに類した感じがある。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
気ままにピアノの
鍵盤
(
けんばん
)
をたたきまわっても一つの音楽であるかもしれないがソナタにはならないと同様である。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“鍵盤”の意味
《名詞》
鍵 盤(けんばん)
鍵盤楽器を演奏する際に操作するスイッチのような部分。白鍵と黒鍵が12音階に従って並べられたもの。英語そのままにキーボードとも言う。
タイプライターやコンピューターの操作部分。
(出典:Wiktionary)
鍵
常用漢字
中学
部首:⾦
17画
盤
常用漢字
中学
部首:⽫
15画
“鍵”で始まる語句
鍵
鍵穴
鍵屋
鍵形
鍵束
鍵孔
鍵裂
鍵鼻
鍵惣
鍵番