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逢曳
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あいびき
ふりがな文庫
“
逢曳
(
あいびき
)” の例文
引入れて雨戸を締めると、中は真っ暗、手と手を握った二人は、遠い廊下の
有明
(
ありあけ
)
を目当てに、
逢曳
(
あいびき
)
らしい心持で、奥へ
辿
(
たど
)
りました。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後に成って、反って大塚さんは眼に見えない若い二人の
交換
(
とりかわ
)
す言葉や、手紙や、それから
逢曳
(
あいびき
)
する
光景
(
さま
)
までもありありと想像した。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いつかの床の上へ席の支度をさせ、今日はこっそり
逢曳
(
あいびき
)
に来たのだ、などと云って仲居たちを遠ざけ、二人だけで
膳
(
ぜん
)
に向った。
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小さな声で、明日の夕方、近所の
石河岸
(
いしがし
)
まで若旦那様に来て頂けないでしょうかと云うんだ。野天の
逢曳
(
あいびき
)
は罪がなくって好い。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
皆さんは北園竜子の召使の老婆の証言によって、竜子がどこの誰とも知れぬ四十歳余りの男と、ひそかに
逢曳
(
あいびき
)
を続けていたことを御存知でしょう。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
……翌日も
逢曳
(
あいびき
)
のあとで、ソフィヤ・リヴォヴナはまた一人で橇を雇って乗り廻し、叔母さんのことを思い出した。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「若ーさんの前ですがね、晴子という
奴
(
やつ
)
はね、家のお帳場さんの伊ーさんに熱くなって、世間の
噂
(
うわさ
)
ではちょいちょい、どこかで
逢曳
(
あいびき
)
しているんだとさ。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
山県陸軍卿が御用商人の三谷のこの寮へ行って、堀の小さんと泊まりがけで
逢曳
(
あいびき
)
したのも当時人の噂に上った。
みやこ鳥
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
東京を立つときから「九州へ行ったら」という約束のフグだけに、たとえば
逢曳
(
あいびき
)
の彼女の常ならぬ薄化粧をまず見入る男の眼のごとく、いやしい味覚がそそられる。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はじめ蝶吉と歌枕で
逢曳
(
あいびき
)
の重なる時分、神月は玉司子爵の婿君であったから、
一擲
(
いってき
)
千金はその
難
(
かた
)
しとせざる処、蝶吉が身を苦界から救うのはあえて困難な事ではなかった。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
U氏が最初からの
口吻
(
くちぶり
)
ではYがこの事件に関係があるらしいので、Yが夫人の道に
外
(
はず
)
れた恋の取持ちでもした
乎
(
か
)
、あるいは
逢曳
(
あいびき
)
の使いか手紙の取次でもしたかと
早合点
(
はやがてん
)
して
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それでも知らねえと
強情
(
ごうじょう
)
を張るか。又そのお近という女は、ときどきにお前の家へ忍んで来て、黒沼の婿の幸之助と
逢曳
(
あいびき
)
をしている筈だが……。それでもお前は強情を張るか
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それには女の言葉に依ればおふささんは同じ家で密夫と
逢曳
(
あいびき
)
の最中との事であるから、夜の白むのを待たず高円寺の自宅に取って返し、房枝の存在を確める事が一番近道で有ります。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
お君の話のテンポの遅さと、八五郎の
逢曳
(
あいびき
)
? を享楽する
心持
(
こころもち
)
に
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
られて、いつの間にやら
四半刻
(
しはんとき
)
(三十分)ほどの時間は
経
(
た
)
ちました。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
目付屋敷には、まだ竹屋三位がいるので、そこへ
曰
(
いわ
)
くのあるお米を連れこむことはできないし、
逢曳
(
あいびき
)
のように外でひそひそと話しているのは、なおさら
外聞
(
がいぶん
)
にかかわる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と誰かが云った、「ときどきあの女がどこかへ行くのは、そいつと
逢曳
(
あいびき
)
をするためだな」
留さんとその女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……その
次第
(
わけ
)
は「島津は近頃浮気をして、
余所
(
よそ
)
の
婦
(
おんな
)
と、ここで
逢曳
(
あいびき
)
をするらしい。」……
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
待て、人の妻と
逢曳
(
あいびき
)
を、と心付いて、
首
(
こうべ
)
を
低
(
た
)
れると、再び
真暗
(
まっくら
)
になった時、更に、しかし、身はまだ清らかであると、気を取直して改めて、青く燃ゆる服の飾を嬉しそうに見た。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところがその時分、正吉は妹娘のお美津と、
私
(
ひそ
)
かに恋を語るようになっていた。そして或る日……奥土蔵の中で、二人が罪のない
逢曳
(
あいびき
)
をしているところを番頭の一人に発見された。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お前と専次の
逢曳
(
あいびき
)
を、家の者は誰も知らないのか」
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
汝
(
おどれ
)
、俺の店まで、呼出しに、汝、
逢曳
(
あいびき
)
にうせおって、
姦通
(
まおとこ
)
め。」
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この間二年
余
(
あまり
)
相たち
申候
(
もうしそうろう
)
。歌枕の今夜の
逢曳
(
あいびき
)
。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
逢
漢検準1級
部首:⾡
11画
曳
漢検準1級
部首:⽈
6画
“逢”で始まる語句
逢
逢着
逢瀬
逢引
逢魔
逢坂
逢坂山
逢紀
逢度
逢著