つまづ)” の例文
まことに濟まぬ事ながら、われ若し強ひて踊り出でば、おのれ一人つまづき轉ぶのみならず、敵手の貴婦人をさへき倒すならん。
かくまひくれよとの頼み故其儘懷中なし夜に入しかば急ぎ歸る河原にや何やらつまづきしが死骸しがいとも氣が付ず行過たり彼の安五郎は九助にわかれ妻の行方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
踏みこたへんとせし貫一は水道工事の鉄道レイルつまづきてたふるるを、得たりと附入つけいる曲者は、あまりはやりて貫一の仆れたるに又跌き、一間ばかりの彼方あなた反跳はずみを打ちて投飛されぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
驚きしも宜なりけり、蒼然として死人に等しき我面色、帽をばいつの間にか失ひ、髮はおどろと亂れて、幾度か道にてつまづき倒れしことなれば、衣は泥まじりの雪によごれ、處々は裂けたれば。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
ひく而已のみ飛石とびいしに迄の付居たるはいかなることぞととはるゝに傳吉こたへて其夜畑村はたむらへ參り河原にて物につまづきしが眞暗まつくらにて何かわかりませぬゆゑ早々立歸り翌朝よくてうすそに血がつき居たるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
驚きしもうべなりけり、蒼然として死人に等しき我面色、帽をばいつの間にか失ひ、髪はおどろと乱れて、幾度か道にてつまづき倒れしことなれば、衣は泥まじりの雪によごれ、処々は裂けたれば。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
宮は猶脱なほのがるるほどに、帯はたちまけてあしまとふを、右に左に踢払けはらひつつ、つまづきては進み、行きてはよろめき、彼もはや力はきたりと見えながら、如何いかん、其処そこに伏してまた起きざる時
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
のこすべき此段は憑司がうつたへの通りなり何故に汝が衣類に血のつきたるやとなじれば傳吉は私し昨夜さくや畑村はたむらより日暮ひぐれて歸る時河原にてものつまづ不審ふしんに存じ候が定めて酒によひし人のて居ることゝ存じとがめられては面倒めんだうわきよつて通りぬけしがしんやみゆゑ死人とは一かう存じ申さず今朝衣類いるゐならびに庭の敷石しきいし等へ血のつきりしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)