越度をちど)” の例文
申さば父の越度をちどとなりまたいはずば吉三郎は殺さるべし兩方まつたきやうには何事もゆかざれども能々よく/\かんがへてこゝろしづかに双方さうはう無事になるやうの御答おこたへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かくとみし鬼いづれも咎を悔ゆるがなかに、わけて越度をちどの本なりし者そのくゆることいと深ければ、すなはち身を動かして 一二四—一二六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
よくあるならひで——醫師いしやぬかり、看護婦かんごふ不深切ふしんせつなんでも病院びやうゐん越度をちどおもつて、それ口惜くやしさに、ものぐるはしくおほきたてものを呪詛のろつてるんだらう。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家來の任用、肥後表へ差し向けた使者の件等は、公儀に於いて越度をちどと認める、追つて詮議せんぎを遂げるであらうと云ふ申渡まうしわたしである。暮方に成瀬は病氣だと云つて、安藤が來て慰問した。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
人己が越度をちどによりてたゞ少時しばらくこゝにとゞまり、己が越度によりて正しき笑ひと麗はしき悦びを涙と勤勞ほねをりに變らせぬ 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あと立出たちいでけり然ば九郎兵衞は是より百姓になり消光處くらすところよからぬ事のみ多ければ村方にても持餘もてあまいづれあきれ果ては居けれども九郎兵衞は狡猾わるかしこき者故勿々なか/\越度をちど
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
追返おひかへし不實のうへとがなき者を盜賊人殺と麁忽そこつうつたへをなすことはなはだ以て不屆ふとゞきなり屹度きつと曲事きよくじに申付べき所なれども娘菊が孝貞かうていに免じ汝が越度をちど差免さしゆるすなり落着らくぢやくの後は娘菊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)