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覘
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うかが
ふりがな文庫
“
覘
(
うかが
)” の例文
なおも息を殺して怪しい女客の様子を
覘
(
うかが
)
っていると驚いた。彼女の表情はみるみる変って、その顔は恐ろしく物凄くなって来た。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
ことに、太平洋方面に戦機を
覘
(
うかが
)
っている筈の、帝国海軍の行動について、一行のニュースもないのを物足りなく思った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いつかこうしてやろうと機会を
覘
(
うかが
)
っていたのだ、おまえは酒に酔っていた、ばかなやつだ、酔っていなければ人が違っていることぐらい、すぐにわかった筈だぞ
赤ひげ診療譚:01 狂女の話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
日本にも、櫛笥殿北山大原の領地で銃もて大牝猴を
覘
(
うかが
)
うに、猴腹を示し合掌せしにかかわらず打ち殺し、その
祟
(
たた
)
りで煩い死んだと伝う(『新著聞集』報仇篇)。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
かかる敵あって自分を
覘
(
うかが
)
うとは一切御存じのない湯殿の中の美しい肉体は、もはやその危険が身に迫ったことをも一切お感じがなかったが、天成不思議な力で
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
その白濁した光線の中をよろめきながら、Mの学生の三四人は
訣
(
わか
)
れて車を降り、あとの二人だけは、ちょうどあいたかの女の前の席を
覘
(
うかが
)
って、遠方の席から座を移して来た。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あれほど賢い女が物忘れするはずはないから、——これはヒョッとしたら最初から石見銀山を懐へ入れて、折を
覘
(
うかが
)
っていたんではあるまいかと思った、それが最初の疑いさ。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
硝子張
(
ガラスばり
)
の障子を漏れる
火影
(
ほかげ
)
を受けているところは、
家内
(
やうち
)
を
覘
(
うかが
)
う曲者かと怪まれる……ザワザワと庭の
樹立
(
こだち
)
を
揉
(
も
)
む夜風の余りに顔を吹かれて、文三は
慄然
(
ぶるぶる
)
と身震をして
起揚
(
たちあが
)
り
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
前夜、馬方らと酒をのみながら、
煙草
(
たばこ
)
をふかしながら、
卑猥
(
ひわい
)
な歌を歌いながら、彼は猫のように
覘
(
うかが
)
い数学家のように研究して、始終その見なれぬ男を観察していたのである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
毛沼博士は私達の背後で爛々たる執念の眼を輝やかして、復讐の機会を
覘
(
うかが
)
っていたのです。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
すると、餌ものを
覘
(
うかが
)
う
川獺
(
かわうそ
)
の眼差がちらりと水槽の硝子の向に閃いているのだった。
曲者
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
随分
待合
(
まちあい
)
入りまでもして
渠
(
かれ
)
らと提携する金儲けの機会を
覘
(
うかが
)
っていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
蓋
(
けだ
)
し二人皆実務の才にあらず、兵を得る無し。子澄は海に航して兵を外洋に
徴
(
め
)
さんとして
果
(
はた
)
さず。燕将
劉保
(
りゅうほ
)
、
華聚
(
かしゅう
)
等
(
ら
)
、
終
(
つい
)
に
朝陽門
(
ちょうようもん
)
に至り、
備
(
そなえ
)
無きを
覘
(
うかが
)
いて還りて報ず。燕王
大
(
おおい
)
に喜び、兵を整えて進む。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……継母が畑へ出た留守を
覘
(
うかが
)
うのであった。それでも老父は
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
永い間、私は
隙
(
すき
)
を
覘
(
うかが
)
っている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
奈翁
(
ナポレオン
)
の云い草ではないが、彼の
覘
(
うかが
)
ったもので、ついぞ彼の手に入らなかったものなんか一つもなかったぐらいだから、或いは頭脳の絶対的よさくらべをして見ると
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
話せばきっと
証
(
あか
)
しを立てて呉れるだろう、……逢えさえすればと機会を
覘
(
うかが
)
ったが、それを知って避けるように、出ることの好きなおたまがまったく外へ姿を見せない
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
月神チャンドラを従え雄鶏に化けて瞿曇の不在を
覘
(
うかが
)
い、月神を門外に立たせ、自ら瞿曇に化け、入りてその妻と通じた処へ瞿曇帰り来れど月神これを知らず、瞿曇現場へ踏み込み
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
湯気の後ろから山国の女の肌目の荒い細かいを
覘
(
うかが
)
っていそうなものだが、さていずれを見渡しても当時、この平湯には奴の姿が見えないのは抜かりだとは思われるが、あいつは本来
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ふさがっているのは表通りの右端の二区切りだけで、あとは古障子やら
藁
(
わら
)
やら一ぱい散らかったまま空いている。それ等を踏んで子供が野球をやっている。空地を
覘
(
うかが
)
うのは何国の子供も同じだ。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
私は署長の顔色を
覘
(
うかが
)
いながら
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
彼はまた暫く加久平の饒舌の切れ目を
覘
(
うかが
)
ったうえ、ようやくその機を
捉
(
とら
)
えて訪問の目的を述べた。
百足ちがい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『書紀』二に
豊玉姫
(
とよたまひめ
)
産む時夫
彦火々出見尊
(
ひこほほでみのみこと
)
約に
負
(
そむ
)
き
覘
(
うかが
)
いたもうと豊玉姫産にあたり竜に
化
(
な
)
りあったと記されたが、異伝を挙げて〈時に豊玉姫
八尋
(
やひろ
)
の
大熊鰐
(
わに
)
に
化為
(
な
)
りて、
匍匐
(
は
)
い
逶虵
(
もごよ
)
う。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そう遠くない物蔭から、辛抱づよく、あの細い眼で、じっとこっちを
覘
(
うかが
)
っている。
夕靄の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つねに機会を
覘
(
うかが
)
い、また、つねにいろいろ策謀しております、郡境の争いとなると、とりあげようによっては公儀の問題になりますから、必ず老中へもちこむに違いありません、そうなると、酒井
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
覘
漢検1級
部首:⾒
12画
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差覘
明巣覘
絵覘
覘眼鏡
附覘