蒸焼むしやき)” の例文
旧字:蒸燒
彼は鼈四郎が来るまえからすっぽんの料理に凝り出していたのだが、鼈鍋すっぽんなべはどうやらできたが、鼈蒸焼むしやきり損じてばかりいるほどの手並だった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼は毎日海亀の脂や石焼の仔豚や人魚の胎児や蝙蝠の仔の蒸焼むしやきなどの美食にいているので、彼の腹は脂ぎってはらみ豚の如くにふくらんでいる。
南島譚:01 幸福 (新字新仮名) / 中島敦(著)
蒸物は少し面倒めんどうですがそれへ米利堅粉と玉子とを入れて全体ならカステラ鍋で一時間ほど蒸焼むしやきにするのですがただお湯で蒸してもようございます
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
木材を蒸焼むしやきにすると大抵の有機物は分解して一部は瓦斯になって逃げ出し、残ったのは純粋な炭素と灰分とが主なものである、これがすなわち木炭である。
歳時記新註 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
うずら蒸焼むしやきを二皿」とか「腸詰を二皿」とか、ゼラール中尉はいつも他人の分までも注文した。が、時々ガスコアン大尉がキュラソーの方を、より多く望んでいる時などに
ゼラール中尉 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
馬爪ばづ、あんな骨類こつるいを徳利に入れて蒸焼むしやきにするのであるから実に鼻持はなもちもならぬ。それを緒方の塾の庭の狭い処でるのであるから奥でもったまらぬ。奥で堪らぬばかりではない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
二度目の朝飯の時(食卓には冷たい料理——燻製くんせいや塩漬や蒸焼むしやきなどが山盛だった)
はてさて迷惑めいわくな、こりやまい黄色蛇あおだいしやう旨煮うまにか、腹籠はらごもりさる蒸焼むしやきか、災難さいなんかるうても、赤蛙あかゞへる干物ひもの大口おほぐちにしやぶるであらうと、そツると、片手かたてわんちながら掴出つかみだしたのは老沢庵ひねたくあん
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
牛肉屋からあぶらの寡いロース肉かあるいは三角肉を買って大切のままブリキ箱へ載せてカステラ鍋へ入れて塩を振りかけて二時間も蒸焼むしやきにすると訳なく出来ます。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
はてさて迷惑めいわくな、こりゃ目の前で黄色蛇あおだいしょう旨煮うまにか、腹籠はらごもりの猿の蒸焼むしやきか、災難が軽うても、赤蛙あかがえる干物ひものを大口にしゃぶるであろうと、そっと見ていると、片手にわんを持ちながら掴出つかみだしたのは老沢庵ひねたくあん
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
美食家のせい桓公かんこうが己のいまだ味わったことのない珍味ちんみを求めた時、厨宰ちゅうさい易牙えきがは己が息子むすこ蒸焼むしやきにしてこれをすすめた。十六さいの少年、しんの始皇帝は父が死んだその晩に、父の愛妾あいしょうを三度おそうた。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
テンパンかあるいはブリキ皿の湯の中へ置いてテンピの中で二十五分間ほど蒸焼むしやきにしますがもしもジャムがあれば一旦テンピから出して上へジャムを塗って玉子の白身を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
置いてそれごとテンピの中で二十五分間位蒸焼むしやきにすると上等のプデンが出来ます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
... また一時間ほどテンピに入れて蒸焼むしやきにしたのさ」大原「テンピとは何だ」主人
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あゆ蒸焼むしやき 秋 第百九十四 鮎とこうし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)