-
トップ
>
-
草箒
>
-
くさばうき
卯平は
清潔好なのでむつゝりとしながら
獨で
居る
時には
草箒で
土間の
軒の
下を
掃いては
鷄が
足の
爪で
掻き
亂した
庭葢の
周圍をも
掃きつけて
置いた。
極めて
狭い
溝板の上を通行の人は
互に身を
斜めに
捻向けて
行き
交ふ。
稽古の
三味線に人の
話声が
交つて
聞える。
洗物する
水音も
聞える。赤い
腰巻に
裾をまくつた
小女が
草箒で
溝板の上を
掃いてゐる。
盥の
汚れた
微温湯は
簀の
子の
上から
土に
注がれた。さうして
其の
沾れた
簀の
子には
捲くつた
筵が
又敷かれた。
朝から
雨戸は
開け
放たれて
歩けばぎし/\と
鳴る
簀の
子の
上の
筵は
草箒で
掃かれた。