花盛はなざか)” の例文
「ここから、あちらにえるおかしてゆくと、いま、りんごの花盛はなざかりです。それは、いいにおいがしています。」といいました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すもゝにはから背戸せどつゞいて、ちひさなはやしといつていゝくらゐ。あの、そこあまみをびた、美人びじんしろはだのやうな花盛はなざかりをわすれない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
年輩ねんぱいも、たしかみことはそのときおん二十四、ひめおん十七、どちらも人生じんせい花盛はなざかりなのでございました。
さるいしの渓谷は土えてよくひらけたり。路傍に石塔の多きこと諸国その比を知らず。高処より展望すれば早稲わせまさに熟し晩稲ばんとう花盛はなざかりにて水はことごとく落ちて川にあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
今日けふならではの花盛はなざかりに、上野うへのをはじめ墨田川すみだがはへかけて夫婦ふうふづれをたのしみ、隨分ずいぶんともかぎりの体裁ていさいをつくりて、つてきの一てう良人おつと黒紬くろつむぎもんつき羽織ばをり女房にようぼうたゞすぢ博多はかたおびしめて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もり胡桃くるみ花盛はなざか
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
馬鈴薯畑じやがいもばたけ花盛はなざかり。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)