脇差わきざ)” の例文
おちよぼぐちにお鐵漿かねくろをんなは、玄竹げんちく脇差わきざしをて、かうひながら、あかたすきがけのまゝで、しろした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
差料さしりょう長谷部則長はせべのりながの刀に来国俊らいくにとし脇差わきざしであった。喜三郎も羽織は着なかったが、はだには着込みをまとっていた。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「こりゃ、山男。出はって。切ってしまふぞ。」達二は脇差わきざしを抜いて身構へしました。
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
両肌もろはだ脱いで脇差わきざしに手を掛ければ、主人はじめ皆々駈け寄って、その手を抑え
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それを但馬守たじまのかみられるのが心苦こゝろぐるしさに地方ぢかた與力よりき何某なにがしは、ねこ紙袋かんぶくろかぶせたごと後退あとずさりして、脇差わきざしの目貫めぬきのぼりうくだりう野金やきんは、扇子せんすかざしておほかくした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「こりゃ、山男。出はって。切ってしまうぞ。」達二は脇差わきざしをいて身構みがまえしました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わが徳川家とくがはけ瓦解ぐわかいのちは多からぬ扶持ふちさへ失ひければ、朝あさのけむりの立つべくもあらず、父ぎみ、叔父をぢぎみ道に立ちて家財のたぐひすら売りたまひけるとぞ。おほぢの脇差わきざしもあとをとどめず。
臘梅 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
黄金作こがねづくりの大小だいせう門前もんぜん茶店ちやみせげられて、丸腰まるごしになつたのを不平ふへいおもふうで、ひと退けながらやつて天滿與力てんまよりきは、玄竹げんちく脇差わきざしをしてゐるのをて、しからんといふふう
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
脇差わきざしも老には重き涼みかな」
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)