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胴忘
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どうわす
ふりがな文庫
“
胴忘
(
どうわす
)” の例文
いや、
然
(
さ
)
う
云
(
い
)
ふ
間
(
ま
)
もない、
彼處
(
あすこ
)
に
立
(
た
)
つてる、
貴女
(
あなた
)
とお
話
(
はなし
)
をするうちは、
實際
(
じつさい
)
、
胴忘
(
どうわす
)
れに
手紙
(
てがみ
)
のことを
忘
(
わす
)
れて
居
(
ゐ
)
ました。……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ほんに、
胴忘
(
どうわす
)
れをしておりまして——先刻二人連れのお侍衆が、お見えになりまして、是非お目にかかりたいと——」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
甲田が犯人だなどとは夢にも思わぬものだから、ついそれを
胴忘
(
どうわす
)
れしていたが、彼は確に女みたいな内輪の歩き癖だ。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昨年の或夜、予の或友人、——実は久保田万太郎氏は何人かの友人と話してゐる時に「ああ大和にしあらましかば」を暗誦し、数行の後に
胴忘
(
どうわす
)
れをした。
人及び芸術家としての薄田泣菫氏:薄田泣菫氏及び同令夫人に献ず
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
凝
(
こ
)
り性、
厭
(
あ
)
き性、ムラ気、お
日和
(
ひより
)
機嫌、
胴忘
(
どうわす
)
れ、神経質、何々道楽、何々キチガイ、何々中毒、男あさり、女たらし、変態心理なぞの数を尽して百人が百人
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
「そうだ、桐島さんだ、
何時
(
いつ
)
も
胴忘
(
どうわす
)
れをしましてね、で、
絹漉
(
きぬごし
)
は、ちりか何かになされるので」
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
俺の処なぞは、朝出て晩方帰るまでは、嬶の奴め、亭主を
胴忘
(
どうわす
)
れしてやがる。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
先日御逢いした時には、それを
胴忘
(
どうわす
)
れして、写真ではなく実物のあなたに見覚えがある様に思い違えた訳なのです。
モノグラム
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そのほか
凝
(
こ
)
り
性
(
しょう
)
、
厭
(
あ
)
き性、ムラ気、お
日和
(
ひより
)
機嫌、
胴忘
(
どうわす
)
れ、神経質、何々道楽、何々キチガイ、何々中毒、変態心理なぞの数をつくして、出会う人
毎
(
ごと
)
に、知るも知らぬも
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
西國船
(
さいこくぶね
)
の
難船
(
なんせん
)
においらが
叔父的
(
をぢき
)
の
彌次郎兵衞
(
やじろべゑ
)
、
生命懸
(
いのちがけ
)
の
心願
(
しんぐわん
)
、
象頭山
(
ざうづざん
)
に
酒
(
さけ
)
を
斷
(
た
)
つたを、
咽喉
(
のど
)
もと
過
(
す
)
ぎた
胴忘
(
どうわす
)
れ、
丸龜
(
まるがめ
)
の
旅籠
(
はたご
)
大物屋
(
だいもつや
)
へ
着
(
つ
)
くと
早
(
は
)
や、
茶袋
(
ちやぶくろ
)
と
土瓶
(
どびん
)
の
煮附
(
につけ
)
、とつぱこのお
汁
(
しる
)
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
知っていたのに何故間違ったことを教えたか。その時の不思議な心理状態は、今になってもまだよく分りませんが、恐らく
胴忘
(
どうわす
)
れとでも云うのでしょうか。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「何とかいったっけな。エート。
胴忘
(
どうわす
)
れしちゃった。副院長の名前は……」
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仮令分り切ったことを
胴忘
(
どうわす
)
れしていても、或は話がとんちんかんになっても、人は少しも疑わず、却って彼の不幸な精神状態を、
憐
(
あわれ
)
んで呉れる始末でした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おかしいな……何とかいったっけが……ツイ今サッキまでハッキリと
記憶
(
おぼ
)
えていたんですが。……オカシイナ……ツイ
胴忘
(
どうわす
)
れしちゃってチョット思い出せないんですが。エッ。何ですって……。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
空目
(
そらめ
)
をして、何事か
胴忘
(
どうわす
)
れした人の様に、「なんだっけなあ、なんだっけなあ、なんだっけなあ」と呟いた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
分り切ったことをふと忘れて、どうしても思い出せない、俗に
胴忘
(
どうわす
)
れという事があるね。あれが決して偶然でないというのだ。忘れるという以上は、必ずそこに理由がある。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は、さっき毒薬を垂らす時、あとで見失っては大変だと思って、その栓を
態々
(
わざわざ
)
ポケットへしまって置いたのですが、それを
胴忘
(
どうわす
)
れして了って瓶丈け下へ落して来たものと見えます。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「じゃ云って御覧。何といったっけな。伯父さんは
胴忘
(
どうわす
)
れしてしまったんだよ。さあ云って御覧。ホラ、そうすれば、このお陽さまの様に美しいチョコレートの罐がお前のものになるんだよ」
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は激情の余り、ついそれを
胴忘
(
どうわす
)
れしていたのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
胴
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
忘
常用漢字
小6
部首:⼼
7画
“胴”で始まる語句
胴
胴中
胴衣
胴間声
胴乱
胴顫
胴服
胴巻
胴体
胴震