罷出まかりいで)” の例文
それより後は絶えて首の御用を被仰出おほせいだされ候ことなく、かの床穴をももとの通りに修理しうりせしめられ候、程経て御前へ罷出まかりいで候得者
はななほ三人打寄うちより相談をなすにどうせ隱し立は成まじき間御呼出し次第罷出まかりいで吟味ぎんみうけんと思ひて相待あひまつ所に程なく定廻り同心自身番に來りて七右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんとも恐多おそれおほことではござりますが、御新姐樣ごしんぞさまひとつおねがひがあつて罷出まかりいでましてござります、へい。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
罷出まかりいで候はゞ、奇特御座候とも、余命無御座候ござなくさふらふ。まして我等てい之者罷出、何之奇特も御座有間敷候得あるまじくさふらへは、罷出無詮義せんなきぎと存候。当世は有様ありやう正直をまをして、用に立申儀たちまをすぎにて無御座候。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相「折入おりいって殿様にお願いの事がございまして、罷出まかりいでました、うかお聞済きゝずみを願います」
又当方より罷出まかりいで申や。御返事此者へ為御聞おきかせ下度如此御座候。以上。
呼出よびいだすべしと差紙さしがみに付町役人七助を召連めしつれ罷出まかりいでければ大岡殿何歟なにかおぼさるゝ事ありて此日は吟味ぎんみもなくおつ呼出よびいだすまで七助梅は家主へあづけると申付られけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このおなじ店が、むしろ三枚、三軒ぶり。かさた女が二人並んで、片端に頬被ほおかぶりした馬士まごのような親仁おやじが一人。で、一方のはじの所に、くだんの杢若が、縄に蜘蛛の巣を懸けて罷出まかりいでた。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まげ度程まげ申せは、それには光さし申世にて候間、中々我等躰之者罷出まかりいで、世に逢申儀にて無御座候、世にあわせまをしても、はや無余候間、今日/\と存、死をまつばかりにて御座候。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれ罷出まかりいでましたが、これも強く逆上ぎやくじやういたしがかすみ、あたまに熱をち、カツカといたしてたまらぬなどまうしてをりまする、それ可愛想かあいそうなのは大原伊丹おほはらいたみで、あれ到頭たうとう生体しやうたいなしで夢中むちゆうります。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
恐入らせんとて大音に御城代所司代并に御老中の役宅にて喋々べら/\饒舌しやべりし者は此席にゐる罷出まかりいでよ吟味の筋ありと呼はれば山内は最前より餘人よにんに尋んより我に問ば我一言のもとに越前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
客は女性にょしょうでござるに因って、一応拙者それがしから申入れる。ためにこれへ罷出まかりいでた。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)