つぎ)” の例文
新字:
つぎ御小姓組おこしやうぐみなる勤仕きんしこうあらは有章公いうしやうこうの御代に御徒頭おかちがしらとなり其後伊勢山田奉行ぶぎやう仰付られ初て芙蓉ふよう御役人のれつに入りけるなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
淨瑠璃じやうるりで聽いた文句ですよ、——ところが平松屋の内儀のお駒は、部屋の眞ん中に床を敷いて、自分は奧の方の壁寄りに、少しつぎの當つた寢卷を
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
無造作にその上をこすつた手を、つぎの多い洋袴ズボンになすりつけ、洋袴の裾を高くたくつた。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
えりからの前垂まへだれ幅廣はゞびろやつを、遣放やりぱなしに尻下しりさがりにめた、あとのめりに日和下駄ひよりげた土間どま突立つツたち、あたらしいのをあてがつても半日はんにち駈破かけやぶる、つぎだらけの紺足袋こんたびひざツきり草色くさいろよれ/\の股引もゝひき
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
手にるな矢張野に置け蓮華草れんげそういえへ入ると矢張並の内儀おかみさんなれども、女郎に似合わぬ親切に七兵衞の用をするが、二つになるおつぎという女の子に九つになる正太郎しょうたろうという男の子で悪戯盛いたずらざか
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
胸をドンと叩きますが、くたびれた單衣の裾を端折ると、叔母が丹精してつぎを當てた、淺葱あさぎの股引がハミ出して、あまり威勢の良い恰好ではありません。
設け其上に越前守忠相たゞすけまるに向ふ矢車の定紋をつけつぎ上下にて控へ左右に召捕手の役人數多あまた並び居るにぞ如何なれば大坂御城代ごじやうだいを始京都所司代御老中の役宅にても自分じぶん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つぎ申度とたつて申聞候故村中むらぢうより餞別せんべつ取集とりあつつかはし候金子八兩二分を所持致し出立せしがみぎ金子きんす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
藁蘂わらしべで結つた油氣のない髮は、半分白髮が交つて、多年日光の下で燒き上げた澁紙色の皮膚、遠州じまの單衣の尻を端折つて、淺葱色あさぎいろの股引は海藻もくづつゞつたやうにつぎだらけです。
「これぢやつくろひもつぎはぎもきゝませんね」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)