緑青ろくしやう)” の例文
二人の影ももうずうつと遠くの緑青ろくしやういろの林の方へ行つてしまひ、月がうろこ雲からぱつと出て、あたりはにはかに明るくなりました。
月夜のでんしんばしら (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
宿やどと、宿やどで、川底かはそこいはゑぐつたかたちで、緑青ろくしやうゆき覆輪ふくりんした急流きふりうは、さつ白雲はくうんそらいて、下屋げやづくりのひさしまれる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、廓大鏡に覗いて見ると、緑いろをしてゐるのは緑青ろくしやうを生じた金いろだつた。わたしはこの一枚の写楽に美しさを感じたのは事実である。
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
形はおほむ手毬てまりの様に円く大きく盛上り、色はかはつた種種しゆ/″\複色ふくしよくを出して、中にはえた緑青ろくしやう色をした物さへある。すべて鉢植でなく切花きりばな硝子罎がらすびんに挿して陳列して居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
緑青ろくしやういろの古ぼけた硝子戸棚を
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
辰砂 岩緑青ろくしやう等に類するもの有
他計甚麽(竹島)雑誌 (旧字旧仮名) / 松浦武四郎(著)
玉泉と緑青ろくしやう7・27(夕)
つややかに、今、緑青ろくしやう
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
緑青ろくしやうの色、空の色
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
みづはなれて、すれちがつて、背後うしろなる木納屋きなやてかけたすうぽん材木ざいもくなかえた、トタンにみとめたのは、緑青ろくしやうつたやうなおもてひかる、くちとがつた、手足てあし枯木かれきのやうな異人いじんであつた。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
にれの花緑青ろくしやうのふく古銭より猶哀れなり沙にまじれば
緑青ろくしやうのとこもあれば藍銅鉱アズライトのとこもある
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
緑青ろくしやうてふあかはね
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
緑青ろくしやうは水平線までうららかに延び
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
あんまり緑青ろくしやうり過ぎたのだ
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)