立帰たちかえ)” の例文
旧字:立歸
あとには娘お町が有難いお人だと悦んで居りました。國藏は又しきりに心配して、ぐる/\駈廻かけまわって居りまする処へ文治郎が立帰たちかえって参り
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この夜おあいは考えた。こうして家まで売ってしまっては、またまたたく間に昔のように苦しい、みじめな生活に立帰たちかえってしまうのが目に見えている。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よしや我身の妄執もうしゅうり移りたる者にもせよ、今は恩愛きっすて、迷わぬはじめ立帰たちかえる珠運にさまたげなす妖怪ようかい、いでいで仏師が腕のさえ、恋も未練も段々きだきだ切捨きりすてくれんと突立つったち
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうしてあたまひやくすりと、桂梅水けいばいすいとを服用ふくようするようにとって、いやそうにかしらって、立帰たちかえぎわに、もう二とはぬ、ひとくる邪魔じゃまをするにもあたらないからとそうった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すぐに伴藏は羊羹箱の古いのにの像を入れ、畑へ持出もちだ土中どちゅうへ深く埋めて、其の上へ目標めじるしの竹を立置たてお立帰たちかえり、さアこれから百両の金の来るのを待つばかり
若侍はすぐと立派にとゞめを刺して、血刀ちがたなふるいながら藤新の店頭みせさき立帰たちかえりましたが、もとより斬殺きりころす料簡でございましたから、ちっとも動ずる気色もなく、我が下郎に向い
と親切の言葉に萩原は有がたく礼を述べて立帰たちかえり、白翁堂に其の事を話し、それから白翁堂も手伝って其の御札をうちの四方八方へ貼り、萩原は蚊帳かやを吊って其の中へ入り
石川県へ往って三年ばかりって大阪へまいった所、しっての通り芸子舞子の美人ぞろいだからたまらない、君から貰った三百円もちゃ/\ふうちゃさ、むを得ず立帰たちかえった所が
どうしてお浪は國藏のたれるのを見て、とっくに跣足はだし逃出にげだして仕舞って居りませんから、國藏は文治に厚く礼を述べて立帰たちかえりましたが、此の國藏が文治の云う事を真に感じ、改心致して
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と是から仙太郎が駕籠屋の安と重三郎の二人を連れて我家わがや立帰たちかえりました。