トップ
>
瞠若
>
どうじゃく
ふりがな文庫
“
瞠若
(
どうじゃく
)” の例文
さほど知れ切った事でも黙っていては顕われず、空しく欧米人をして発見発見と鼻を高からしめ、その後に
瞠若
(
どうじゃく
)
たりでは詰まらぬ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ロンのパリ音楽院の教授としての声名もすばらしいが、その演奏家としての腕前も、
有髯
(
ゆうぜん
)
男子を
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめるものがある。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
恰
(
あたか
)
も欧州戦前のバルカンの如く、日露戦前の
竜岩浦
(
りゅうがんぽ
)
の如く、如何なる名外交家と
雖
(
いえど
)
も
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしむる
底
(
てい
)
の難解問題となっているのであるが
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
呀
(
あ
)
?
茶釜
(
ちゃがま
)
でなく、
這般
(
この
)
文福和尚
(
ぶんぶくおしょう
)
、
渋茶
(
しぶちゃ
)
にあらぬ
振舞
(
ふるまい
)
の
三十棒
(
さんじゅうぼう
)
、思わず
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
として、……
唯
(
ただ
)
苦笑
(
くしょう
)
するある
而已
(
のみ
)
……
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その労作の面で課せられる仕事の実質は、大の男を
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめるだけのものなのである。科学主義工業の提唱者は、おおうところなく明言している。
新しい婦人の職場と任務:明日の婦人へ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
火の如き勢いが剣の機先を制して、金吾の第一刀はあざやかに、日本左衛門をして
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめましたが、かれもさるもの、敢て、その殺風に逆らわず
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むかし
筑前
(
ちくぜん
)
の国、
太宰府
(
だざいふ
)
の町に、白坂
徳右衛門
(
とくえもん
)
とて代々酒屋を営み太宰府一の長者、その息女お
蘭
(
らん
)
の美形ならびなく、七つ八つの
頃
(
ころ
)
から見る人すべて
瞠若
(
どうじゃく
)
し
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
日本語を
善
(
よ
)
くする事邦人に異らず、
蘇山人
(
そさんじん
)
と
戯号
(
ぎごう
)
して俳句を吟じ小説をつづりては常にわれらを
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめた才人である。
故山
(
こざん
)
に
還
(
かえ
)
る時一句を残して曰く
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
貧窮
(
ひんきゅう
)
、
病弱
(
びょうじゃく
)
、
菲才
(
ひさい
)
、
双肩
(
そうけん
)
を圧し来って、ややもすれば我れをして
後
(
しり
)
えに
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめんとすといえども、我れあえて心裡の牙兵を
叱咤
(
しった
)
して死戦することを恐れじ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
六尺男児を
後
(
しり
)
へに
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめた底の女子が追々増加して、三十五六年頃からは、各地女学校の団隊が追々富士登山を試みる様になったのは、
寔
(
まこと
)
に喜ばしい現象である。
女子霧ヶ峰登山記
(新字新仮名)
/
島木赤彦
(著)
あるいは革命の激流
一瀉千里
(
いっしゃせんり
)
、彼らかえってその後に
瞠若
(
どうじゃく
)
し、空しく前世界の遺物たることあり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
疵
(
きず
)
持つ身の
忽
(
たちま
)
ち萎縮して顔色を失い、人の
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
として卑屈
慚愧
(
ざんき
)
の状を呈すること、日光に当てられたる
土鼠
(
もぐら
)
の如くなるものに比すれば、また同日の論にあらざるなり。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
顔を洗って、着物を着代えて、何代目かの管長候補は女の襟を直してやったり、女の帯をしめてやったり、熟練の妙をあらわして、二人の青道心をしりえに
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめた。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
卑弥呼は首から
勾玉
(
まがたま
)
をとり
脱
(
はず
)
すと、
瞠若
(
どうじゃく
)
として彼女の顔を眺めている反耶の首に垂れ下げた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
当時アテーネ遊君の大親玉フリーネがエレウシスの大祭に髪を
捌
(
さば
)
いて
被
(
おお
)
うたばかりの露身の肌を日光に照らし、群衆
瞠若
(
どうじゃく
)
として開いた道を通って海に入り神を礼し
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
殊にそんな婦人の中でも、日本人の男性でも掌の痛さと、気合いの烈しさに
辟易
(
へきえき
)
する大鼓を引き受けている人が居ると聞くに到っては、感心を通り越して
瞠若
(
どうじゃく
)
の到りである。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おそらくは周さんのかねて考えていたよりさらに数層倍も素晴らしく眼前に展開されるのを見て、いまさらながら日本の不思議な力に
瞠若
(
どうじゃく
)
驚歎したように私には見受けられた。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
自分というものが身にもっている容色と才智との全部を男と平等なあるいは男を
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめる女として表現してゆこうとする意欲に熱烈で、その面には徹底的であったらしいけれども
女性の歴史の七十四年
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
瑰麗
(
かいれい
)
な風趣、摩天の大殿堂を見るごとき荘重雄渾さ、それらは吹込み後七、八年を経る古レコードであるにかかわらず、昨今の進歩した録音のレコードを
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめるのは、演奏の優秀さは
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
すると、見渡す視野がばかに広茫と果もなくひろがつてゆくのに、その都度
瞠若
(
どうじゃく
)
として度胆を失つてしまふのだ。冬の広さを見てゐると、俺は俺の存在が消えてなくなるやうに感じるものだから……
木枯の酒倉から:――聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
この同音は、一車を
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめた。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところがこの牧師も
瞠若
(
どうじゃく
)
と尻餅を
搗
(
つ
)
かにゃならぬ珍報が一八六二年の諸新聞紙に出た。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いったいここの藩祖
政宗
(
まさむね
)
公というのは、ちょっとハイカラなところのあった人物らしく、慶長十八年すでに
支倉
(
はせくら
)
六右衛門常長を特使としてローマに派遣して他藩の保守
退嬰派
(
たいえいは
)
を
瞠若
(
どうじゃく
)
させたりなどして
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかも、思わず
瞠若
(
どうじゃく
)
してしまうくらいの美しいひとであった。
女神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
“瞠若”の意味
《名詞》
驚いて目を見張ること。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
瞠
漢検1級
部首:⽬
16画
若
常用漢字
小6
部首:⾋
8画
“瞠”で始まる語句
瞠
瞠目
瞠視
瞠入
瞠然
瞠合