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相搏
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あいう
ふりがな文庫
“
相搏
(
あいう
)” の例文
艱苦
(
かんく
)
に
克
(
か
)
ったすぐ後には、艱苦以上の快味がある。苦と快と、生きてゆく人間には、朝に夕に刻々に、たえず二つの波が
相搏
(
あいう
)
っている。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八五郎の
叱咤
(
しった
)
と、
刃
(
やいば
)
と十手の
相搏
(
あいう
)
つ音が、明るい真昼の空気に、ジーンと響きます。平次を先頭に皆んな飛んで行きました。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
仲の悪い二人を一室に会わせて仲が直れば宜いが、却て何かの間違から
角立
(
かどだ
)
った日には、両虎
一澗
(
いっかん
)
に会うので、
相搏
(
あいう
)
たんずば
已
(
や
)
まざるの勢である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
本所鈴川の化物屋敷が刀影下に没して、冷雨のなかを白刃
相搏
(
あいう
)
つ血戦の場と化しさったころ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
肉と肉とが、
相搏
(
あいう
)
つ音が、風雨の音にも
紛
(
まぎ
)
れず、
凄
(
すさま
)
じい音を立てた。身体と身体とが、打ち合う音、筋肉と筋肉とが、
軋
(
きし
)
み合う音、それは風雨の争いにも、負けないほどに恐ろしかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
ドタッ、と筋肉の
相搏
(
あいう
)
つ音がきこえました。——しかしそのとき
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼は神人と
相搏
(
あいう
)
つような態度で、ほとんど必死に書きつづけた。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
藤の根に
猫蛇
(
びょうだ
)
相搏
(
あいう
)
つ
妖々
(
ようよう
)
と
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
相搏
(
あいう
)
つ
叫喚
(
きょうかん
)
と宵の血戦を余儀なくされたが、やがて遠く官軍を追いしりぞけ、同勢ことごとく、白龍廟のほとりから船上へ乗り移った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
譬
(
たと
)
えば一箇の
獣
(
けもの
)
と
相搏
(
あいう
)
って之を獲ようとして居る間に、四方から出て来た獣に脚を
咬
(
か
)
まれ腹を咬まれ肩を
攫
(
つか
)
み裂かれ背を攫み裂かれて倒れたようなものである。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし、ふたりの間隔は、
相搏
(
あいう
)
った一瞬に、おそろしく
遠退
(
とおの
)
いていた。長槍と長槍とでも届かないくらいな間隔にわかれていたのである。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その烈しさは、見る者の
胆
(
きも
)
をちぢめさせた。まさに
猛鷲
(
もうしゅう
)
と猛鷲とが、
相搏
(
あいう
)
って、肉を
咬
(
か
)
みあい、雲に叫び合うようだった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が一瞬に、二つの体は
相搏
(
あいう
)
ッて
反
(
そ
)
りあっていた。燕青の仕掛けが
効
(
き
)
いて、さしもの任原も腰をちょっと浮かせたらしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広きへ
殺出
(
さっしゅつ
)
した城兵と、押太鼓を打って、狭きへ迫り会った寄手とが、
喊声
(
かんせい
)
をあげ、
奔馬
(
ほんば
)
を駈け合わせ、はやくも狂瀾怒濤の
相搏
(
あいう
)
つ状をえがき出した。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奪
(
と
)
りつ奪られつ、南へ生き出ようとする生命と、北方へ伸び振わんとする生命とが、峡門に激しあう奔流にも似て、数度の血戦に
相搏
(
あいう
)
って来たものであった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両大国を
相搏
(
あいう
)
たせて、その力を相殺させ、わが内容を拡充する。真の大策を行うのはそれからでしょう
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すばらしい生命力と生命力の
相搏
(
あいう
)
つ
相
(
そう
)
は魔王と獣王の
咆哮
(
ほうこう
)
し合うにも似ていた。またそれはこの世のどんな
生物
(
いきもの
)
の美しさも語るに足りない壮絶なる「美」でもあった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相搏
(
あいう
)
つ味方の
咆哮
(
ほうこう
)
は、
申
(
さる
)
の
刻
(
こく
)
(午後四時)から
酉
(
とり
)
の
下刻
(
げこく
)
(七時頃)までつづいた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまり、報道される地域が拡まってゆく
相
(
すがた
)
と、それを知ることによって次々に起って来る地方の新しき事件とが、
相搏
(
あいう
)
ち、
相称
(
あいとな
)
え、一波万波のしぶきをいよいよ人心に駆りたてるからである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きのう
北越
(
ほくえつ
)
に上杉勢と
相搏
(
あいう
)
っていたかと思えば、たちまち
伊勢
(
いせ
)
の一
揆
(
き
)
を討ち、また返って、
江州
(
ごうしゅう
)
の浅井を
屠
(
ほふ
)
り、転じて朝倉を亡ぼし、更に
叡山
(
えいざん
)
へ火の手をかけているという
疾風迅雷
(
しっぷうじんらい
)
ぶりである。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日頃、彼が家中の子弟にもいっていたことばを、彼はいま、我とわが身に云い聞かせながら、馬上、槍を横たえて、
怒濤
(
どとう
)
と怒濤の
相搏
(
あいう
)
つごとき血戦の中を、悠々、少しずつ、
粟津
(
あわづ
)
の方へ進んでいた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お互いのあらい呼吸は、しばし息と息だけで、
相搏
(
あいう
)
ッた。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで鷲と鷲とが
相搏
(
あいう
)
ッているすがたである。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相搏
(
あいう
)
つ
両軍
(
りょうぐん
)
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
搏
漢検1級
部首:⼿
13画
“相搏”で始まる語句
相搏噬