目見めみ)” の例文
やがて拍子木ひょうしぎって、まくがりますと、文福ぶんぶくちゃがまが、のこのこ楽屋がくやから出てて、お目見めみえのごあいさつをしました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
夕方になって、口入の上さんは出直して、目見めみえの女中を連れて来た。二十五六位の髪の薄い女で、お辞儀をしながら、横目で石田の顔を見る。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
新吉原江戸町一丁目玉屋山三郎の方へ申こみ目見めみえを致させけるに容貌かほかたちも十人なみすぐれしかば大いに氣にいりだん/\懸合かけあひすゑねん一ぱい金五十兩と相談を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つと大事だいじほねさへらば御氣おきらぬことはづさだめて、かゝるおにしゆうをもつぞかし、目見めみえのみて三日ののち七歳なゝつになるじやうさまおどりのさらひに午後ごゞよりとある
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
荒木村重むらしげをはじめ、城方の者はたれも疑わなかった。また彼女もそれになりきっていた。初めて城へ上った日、彼女は、西の丸の一間で、きょうから仕える人に目見めみえをした。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこの家庭教師に世話をして、今日はそのお目見めみえの日であった。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
笠原は人を頼んで、そこへるんを目見めみえに遣った。氏養と云うのは、六年前に氏之の跡をいだ戸田家の当主である。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
つれて丁字屋へ出かけしが先兩三日は目見めみえに差置さしおく樣にとの事なれば其まゝに差置て長庵は歸りける丁字屋にてはお文が容子ようすたれあつ田舍娘ゐなかむすめと見る者なく傍輩はうばい娼妓しやうぎはづるばかりなれば流石さすがに長庵が骨折ほねをりあらはれし所にて在所に在し其時とは親の十兵衞さへも見違みちがへる程なれば主人半藏方にても十分氣にいりお文へ何故に身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
徳川家康いえやすは三人を紫野むらさきの大徳寺だいとくじまらせておいて、翌年の春秀忠ひでただといっしょに上洛じょうらくした時に目見めみえをさせた。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
きょうお目見めみえをした者の中に大御所のお見知りになっている人はなかったかと問わせたのである。通事つうじの取り次いだ返答は、いっこうに存ぜぬということであった。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)