王子わうじ)” の例文
王子わうじ街道かいだう横切よこぎつて、いよ/\深大寺じんだいじちかつたのが、午後ごゞの五ぎ。夕立ゆふだちでもるか、そらは一ぱいくもつてた。
れのみ一人ひとりあしびきやま甲斐かひみねのしらくもあとをすことりとは是非ぜひもなけれど、今歳ことしこのたびみやこをはなれて八王子わうじあしをむけることこれまでにおぼえなきらさなり。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
引連ひきつれいではしたれどさわがしき所は素より好まねば王子わうじあたりへ立越てかへで若葉わかば若緑わかみどりながめんにも又上野より日暮ひぐらし里などへ掛る時はかれ醉人の多くして風雅ふうがを妨げ面白おもしろからねば音羽通を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
王子わうじ音無川おとなしかは三河島みかはしまの野をうるほした其の末は山谷堀さんやぼりとなつて同じく船をうかべる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
はるゆめのうきはし、とえするよこぐものそら東京とうけうおもちて、みちよりもあれば新宿しゆじゆくまでは腕車くるまがよしといふ、八王子わうじまでは汽車きしやなか、をりればやがて馬車ばしやにゆられて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)