死地しち)” の例文
十六日の口書くちがき、三奉行の権詐けんさわれ死地しちかんとするを知り、ってさらに生をこいねがうの心なし、これまた平生へいぜい学問のとくしかるなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ねずみは、しっかりと柄杓ひしゃくにつかまって、かきがりました。そして、やっと死地しちからのがれたのであります。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これ普通ふつう塲所ばしよなら、かゝる死地しちちても、鐵車てつしやをば此處こゝ打棄うちすてゝ、そのだけまぬが工夫くふういでもないが、千山せんざん萬峰ばんぽう奧深おくふかく、數十里すうじふり四方しほうまつた猛獸まうじう毒蛇どくじや巣窟さうくつで、すで此時このとき數十すうじふ獅子しゝ
桂木は切尖きっさき咽喉のどに、つるぎの峰からあはれなる顔を出して、うろ/\おうなを求めたが、其のことばに従はず、ことさらに死地しちいたを憎んだか、う影も形も見えず、推量と多くたがはず、家もゆかとくに消えて
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
死地しちにおちたあまたけ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかれども井伊大老すでに彼を死地しちかんとす、それた何の益有らん。彼はここにおいて死せざるべからざるを知り、死を待てり、死に安んぜり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)