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横死
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おうし
ふりがな文庫
“
横死
(
おうし
)” の例文
主君の一子、竹若ぎみの
横死
(
おうし
)
は聞いていなくもない。だが、そのいたましい血汐を泥土にした場所がこの辺とはいま知ったのである。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼
(
かの
)
時妾
目前
(
まのあた
)
り、雄が
横死
(
おうし
)
を見ながらに、これを
救
(
たす
)
けんともせざりしは、見下げ果てたる不貞の犬よと、思ひし獣もありつらんが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
信長が
横死
(
おうし
)
する。いちはやく秀吉が光秀を退治して天下は秀吉のものとなったが、同時に世人は家康を目して天下の副将軍というようになった。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
国王の
横死
(
おうし
)
の
噂
(
うわさ
)
に
掩
(
おお
)
はれて、レオニに近き漁師ハンスルが娘一人、おなじ時に溺れぬといふこと、問ふ人もなくて
已
(
や
)
みぬ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「いや、とんだお邪魔いたしました。阿倍川町の父上様は重態ですよ。城弾三郎が
横死
(
おうし
)
した上は、御遠慮には及びません。御見舞にいらっしゃい」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
吉五郎が最後の一言はあながちに嚇しばかりでは無い、現に黒沼伝兵衛は目白の寺門前で怪しい
横死
(
おうし
)
を遂げたのである。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
父鉄斎の
横死
(
おうし
)
でもなく、
乾坤
(
けんこん
)
二刀の争奪でもなく、死んでも! と自分に誓った諏訪栄三郎のおもざしだけだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もう一つの丸い自然石の表には、「三界之万霊」とあり、両側に、「
飢死
(
きし
)
」「
横死
(
おうし
)
」と彫ってある。年代が書いてないけれども、随分、古いものらしい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その時、その温泉に冬越しをしようという人々——それはあのいやなおばさんと、その
男妾
(
おとこめかけ
)
の浅吉との
横死
(
おうし
)
を別としては、前巻以来に増しも減りもしない。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
柴田の
横死
(
おうし
)
を
悼
(
いた
)
むよりも、むしろ痛快がっているらしい私語が、はじめはひそひそとであったが、しまいにはほとんど公然と、未亡人の眼の前で、
囁
(
ささや
)
きはじめられた。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
それでテンゲーリンの臣下がいろいろの事をやったに付け込んで、その主人のテーモ・リンボチェにまで
累
(
るい
)
を及ぼして、遂に
縲紲
(
るいせつ
)
の中に
横死
(
おうし
)
するに至らしめたのである。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
鬼か神に
魅入
(
みい
)
られても、また人に置き捨てにされ、悪だくみなどでこうした目にあうことになった人でも、それは天命で死ぬのではない、
横死
(
おうし
)
をすることになるのだから
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
井伊大老の
横死
(
おうし
)
は絶対の秘密とされただけに、来たるべき時勢の変革を予想させるかのような底気味の悪い沈黙が周囲を支配した。首級を挙げられた大老をよく言う人は少ない。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
もはや幾年となく来ないので、
漸
(
ようや
)
く昔話となった。或は何処かでこの僧は
横死
(
おうし
)
を遂げたのでないかと思われた。
而
(
そ
)
して再びこの僧が、この村に入って来るなどとは考えられなかった。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
どなたでも意外に
思召
(
おぼしめ
)
すか存じませぬが、外ならぬ呉一郎殿の実の
母御
(
ははご
)
で、先年
直方
(
のうがた
)
で不思議の
横死
(
おうし
)
を
遂
(
と
)
げられた千世子殿の事で御座います……さよう……これは誠に
怪
(
け
)
しからぬお話で
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
積悪の応報
覿面
(
てきめん
)
の末を
憂
(
うれ
)
ひて
措
(
お
)
かざる直道が心の
眼
(
まなこ
)
は、無残にも
怨
(
うらみ
)
の
刃
(
やいば
)
に
劈
(
つんざか
)
れて、路上に
横死
(
おうし
)
の恥を
暴
(
さら
)
せる父が死顔の、犬に
蹋
(
け
)
られ、泥に
塗
(
まみ
)
れて、
古蓆
(
ふるむしろ
)
の陰に
枕
(
まくら
)
せるを、怪くも
歴々
(
まざまざ
)
と見て
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼女になんの不足があって、あるいは又なんの事情があって、突然にかかる
横死
(
おうし
)
を遂げたのか、それが一種不可解の謎として世間をおどろかしたのであった。
深見夫人の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ただ一人しかない花形の女太夫が
横死
(
おうし
)
とあっては、
演劇囃子
(
しばいばやし
)
も幕開けのしようもない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の野心の限界は信長第一の家来ということで、その信長のあとをついで天下をという野望はなかった。たまたま信長が
横死
(
おうし
)
して自然に道がひらかれたから天下を狙って動きだしたにすぎなかった。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
取り出して来て見ると、一日として何か起こっていない日はなかった。あの早川賢が
横死
(
おうし
)
を遂げた際に、同じ運命を共にさせられたという不幸な少年一太のことなぞも、さかんに書き立ててあった。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ふだんから評判のよくない母子ではあったが、それでも近所の義理があるのと、もう一つにはお作の
横死
(
おうし
)
が人々の同情をひいたとみえて、見送り人は案外に多いらしかった。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さらには越後の流刑先で
横死
(
おうし
)
した畠山直宗や上杉重能の家来どももいることです。彼らが怨みをすてるとは思われません。……むしろここには、まだ千余のお味方は残っていること。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、
横死
(
おうし
)
した五郎左衛門忠英の一子亀次郎には、そんな機会がなかった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒沼伝兵衛が往来なかで訳のわからない
横死
(
おうし
)
を遂げたなどと云うことが世間に洩れきこえると、あるいは家断絶というような大事になるかも知れないのであるから、
迂闊
(
うかつ
)
な返事をすることは出来ない。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そのことは、
阿新丸
(
くまわかまる
)
も少年の鋭感で、もう
覚
(
さと
)
っていたらしい。本間三郎が、阿新を都へ帰さないわけもそこに潜んでいた。——いま阿新を帰したら、日野資朝の
横死
(
おうし
)
が一ぺんに都へ知れ渡ろう。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“横死”の意味
《名詞》
横死(おうし)
思いがけない災害や事故や事件などによって死(し)ぬこと。非業の死。
(出典:Wiktionary)
“横死(横難横死)”の解説
横難横死(おうなんおうし)とは、予期しない災難や非業の死をとげること。
(出典:Wikipedia)
横
常用漢字
小3
部首:⽊
15画
死
常用漢字
小3
部首:⽍
6画
“横死”で始まる語句
横死者