じょう)” の例文
けれども、今度もまた、自分に敗れたなら、あの権之助は、今日まで誇っていたじょうの自信を失って、ほんとに志を断つであろう。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ともすれば無情を感じ、隠遁いんとんを好み、一りゅうじょう、全国の名所寺社でも行脚して歩いたら、さぞいいだろうと思うような、反世間的な、放浪的な気もちがあるものです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かつて、私は、僧侶が、しゃくじょうを鳴らしながら、道を歩くのは、虫たちを逃がして、無益の殺生をしないがためだという話をきいて、ひどく感動したことがありました。
近頃感じたこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
じょうと五刑が規定されているが、聖武天皇以来、代々の天皇はみな熱心な仏教の帰依者で、仏法尊信のあまり刑をすこしでも軽くしてやることをこのうえもない功徳だとし
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「私はクサリ鎌をやるにはやりますが、元来はじょうを学んだものです」
明日は天気になれ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
背を打たせること二十じょうの後、首枷くびかせ手枷てかせをかけて獄屋につながせ、明日かれを殺すことにしていると、その夜のうちに劉は消えるように逃げ去って、誰もそのゆくえを知ることが出来ませんでした。
道杖どうづえ、 三じょう
だがふと、夢ではないかと疑うような眼をして、武蔵の顔を見上げ——また、馬のわきにじょうをついて立っている夢想権之助の姿を見まわした。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じょうと、五刑が規定されているが、聖武天皇以来、代々の天皇はみな熱心な仏教の帰依者で、仏法尊信のあまり、刑をすこしでも軽くしてやることをこのうえもない功徳だとし
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「三峰権現のおひきあわせだと私は思います。また、わたくしに導母どうぼじょうを授けてくれた亡き母の導きもあるでしょう」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「人々がそれほどまでに申すなれば、一時、命はあずけておく。しかし軍の大法は正さずにはおけん。百じょうの刑を加えて、陣中に謹慎を申しつける」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬岱は孔明に呼びつけられて、面罵めんばされた。その上、ころもをはがれ、じょう五十の刑をうけて、その職も一軍の大将から、一組の小頭に落されてしまった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから彼の姿は、決して一じょう破笠はりゅうの孤高を行く清僧ではない。純粋なる禅家ではない。政僧であり、軍僧であり、また怪僧といえばいえる存在だった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じょうの先が、赤いあとになっているでしょう。もう少し入ったら、恐らく拙者の生命いのちはなかったに違いない」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例のじょうは左に持っていたが、それも使うに及ばず、匕首をぎ取って、お甲を軒先へつきとばした。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「死罪はゆるす。しかし不問に付しておくわけにはゆかない。じょう八十を加えて、将来を戒めておけ」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜならば、杖と刀とが、彼の頭上で、がっきと十字に噛み合ったせつな、じょうの先と武蔵の胸のあいだには、惜しくも、ほんの一寸ほどな空間を残していたからである。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
側面を窺う頼春にしても、おなじで、一じょうの両端に、あしらわれている二人にすぎない。いや二人を併せた力よりも格段に、八荒坊一人の方が強かったということに尽きている。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がっちりと、丸こい顔と固い筋肉をして、四尺二寸のかしじょうを提げている男だった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、一の白雲が、まぶたを流れた。——そしてそこに塩尻峠の山や、高野の草が見えた。——武蔵はそよぐ風をふんで、剣を抜いて立っている。自分は、じょうを取って、それに対している。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四方の木立がえたように、誰かが彼の背へ向ってそう呶鳴った。また——声と一緒に四尺ばかりのじょうが一本、風を切ってびゅッと泳いで行き、丑之助の腰の辺に杖の突端がコツンとあたった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明王院の内には、つねに数十人の不動行者ふどうぎょうじゃ(山伏の一類)が住んでいた。すべて吉致の家来であった。そして事ある日には、この白衣びゃくえじょうの行者が、どこへでも秘命をおびて飛んで行くのである。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また八そう青眼せいがん刺戟しげきの構えを見せ、さらに露砕ろさい旋風破せんぷうは搏浪はくろう直天ちょくてん直地ちょくちの秘術など、果ては、そこに人なく、一じょうなく、ただ風車ふうしゃの如きうなりと、円をなす光芒こうぼうがぶんぶん聞えるだけだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ようし、この一じょうさえあれば、天下の山川草木さんせんそうもくは、みなわが従者」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
即ち、獄卒に命じてじょうを加えることになった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)