朽果くちは)” の例文
この藩に居た所が何としても頭のあが気遣きづかいはない。しん朽果くちはつると云うものだ。どんな事があっても私は中津で朽果てようとは思いません。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
我れ知る我をあがなう者はく、後の日にれ必ず地の上に立たん、我この皮この身の朽果くちはてん後われ肉を離れて神を見ん、我れみずから彼を見奉らん
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
と云って都におりたくないから出奔しゅっぽんしたんだから、おいそれと帰りにくい所へ這入って、親親類おやしんるいの目にからないように、朽果くちはててしまうのはむしろ本望である。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丁度ちやうど普通ふつう蒸滊船じようきせん石炭せきたん缺乏けつぼうしたとおなことで、波上はじやう停止ていししたまゝ、朽果くちはつるのほかはありません。
「血までは、野に朽果くちはてておらぬ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其樣そのやうこと如何どうして出來できませう。れば百計ひやくけいつき塲合ばあひには、たとへ海底戰鬪艇かいていせんとうていとも永久えいきゆうこの孤島はなれじま朽果くちはつるとも、無謀むぼう本島ほんたう出發しゆつぱつすること出來できません。きみ左樣さうでせう。
じつ非常ひじやう手段しゆだんではあるが、いま塲合ばあひおいて、目的もくてきもなく、希望きぼうもなくやうや竣成しゆんせいせし海底戰鬪艇かいていせんたうてい目前もくぜんながめつゝ、むなしくこの孤島はなれじま朽果くちはてんよりは、むし吾等われらみちこれであらう。