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曲彔
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きょくろく
ふりがな文庫
“
曲彔
(
きょくろく
)” の例文
外にたたずんでいたのは、昼間、ただひとりで
曲彔
(
きょくろく
)
に腰かけていたあの老僧だ。骨と皮ばかりのような彼の細い影であった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
曲彔
(
きょくろく
)
にいとも気高く腰打ちかけながら、悠然として、その姿をのぞかせたのは、ぐずり松平の御前です。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
木寄師の仕事はこのほかに天蓋の鉢、
椅子
(
いす
)
、
曲彔
(
きょくろく
)
、須弥壇、台坐等をやる。なかなか大変なものである。
幕末維新懐古談:08「木寄せ」その他のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
八端
(
はったん
)
のねんねこを引っかけて、
曲彔
(
きょくろく
)
によりかかり、
高脚
(
コップ
)
のお酒を飲みながら腕を裂かれていた。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
母親が
曲彔
(
きょくろく
)
を立つて、花の中で迎へた
処
(
ところ
)
で、哥鬱賢は
立停
(
たちど
)
まつて、
而
(
そ
)
して……桃の花の
重
(
かさな
)
つて、影も
染
(
そ
)
まる緋色の
鸚鵡
(
おうむ
)
は、お嬢さんの肩から翼、
飜然
(
ひらり
)
と母親の手に
留
(
と
)
まる。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
曲彔
(
きょくろく
)
に
拠
(
よ
)
る住持の三要は正面に
控
(
ひか
)
え、東側は大衆大勢。西側に昭青年一人。問答の声はだんだん高くなって行きます。衣の袖を
襷
(
たすき
)
に結び上げ、
竹箆
(
しっぺい
)
を
斜
(
しゃ
)
に構えた僧も二三人見えます。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
曲彔
(
きょくろく
)
に片肘を突いて居り、その手の腕から指にかけて、熊のように毛が生えていた。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
正面の高い所にあった
曲彔
(
きょくろく
)
は、いつの間にか一つになって、それへ向こうをむいた
宗演
(
そうえん
)
老師が腰をかけている。その両側にはいろいろな楽器を持った坊さんが、一列にずっと並んでいる。
葬儀記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
席次不同に思い思いの座を占めてはいるが、
高声
(
こうせい
)
に語るもの、笑うものは一人もなかった。僧は皆
紺麻
(
こんあさ
)
の
法衣
(
ころも
)
を着て、正面の
曲彔
(
きょくろく
)
の左右に列を作って向い合せに並んだ。その曲彔は朱で塗ってあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると老僧は、
曲彔
(
きょくろく
)
にかけていた枯木のような
肘
(
ひじ
)
を上げて、後ろの祭壇や、壁や四方をいちいちさして
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曲彔
(
きょくろく
)
の上からその品々を見るような見ないようなおまなざしで、いとも
鷹揚
(
おうよう
)
にじろりとやると、おっしゃったお言葉がまた、この上もなく松平の御前らしい鷹揚さでした。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
主人は白い長い
腭鬚
(
あごひげ
)
をひっぱり、黒ちりめんの羽織で、大きな
茵
(
しとね
)
に坐り、銀の長ぎせるで
煙草
(
タバコ
)
をのみ、
曲彔
(
きょくろく
)
をおき、床わきには
蒔絵
(
まきえ
)
の
琵琶
(
びわ
)
を飾り、
金屏
(
きんびょう
)
の前の大
瓶
(
がめ
)
に桜の枝を投げ入れ
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
信長は、そこにすえてある一脚の
曲彔
(
きょくろく
)
を指さした。禅家で用いているそれはちょうどよい
椅子
(
いす
)
になる。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
葵の御定紋もいかめしい朱塗り造りの
曲彔
(
きょくろく
)
に、いとも気高く腰打ちかけながら、釣るがごとく釣らざるがごとくに何とはなく竿を操り、右に控えたお茶坊主は
金蒔絵
(
きんまきえ
)
したる餌箱を
恭
(
うやうや
)
しく
捧持
(
ほうじ
)
して
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ここ宝珠寺の
破
(
や
)
れ
本殿
(
ほんでん
)
では、時に、三人の怪人が、三ツの
曲彔
(
きょくろく
)
に、
片胡坐
(
かたあぐら
)
を組みあっていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、ついに花和尚も、その重たげな
巨躯
(
きょく
)
を、のしッと、腰かけていた
曲彔
(
きょくろく
)
から上げた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
間もなく、山門の
廂
(
ひさし
)
は、ばらばらとくずれ、
火塵
(
かじん
)
はまるで
華火
(
はなび
)
のように噴きあげて、快川の影も、だんだん黒く変ってきたが、しかもなお
曲彔
(
きょくろく
)
に懸ったまま倒れもせずに楼上にあるではないか。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何もない堂の真ん中に、
曲彔
(
きょくろく
)
に腰かけている骨と皮ばかりな老僧がいた。しかし老僧は眠っているのか、死んでいるのか、
木乃伊
(
ミイラ
)
のように、
空虚
(
うつろ
)
な眼を
梁
(
うつばり
)
へ向けたまま、
寂然
(
じゃくねん
)
と——答えもしない。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曲
常用漢字
小3
部首:⽈
6画
彔
部首:⼹
8画
“曲”で始まる語句
曲
曲者
曲輪
曲線
曲角
曲事
曲物
曲玉
曲舞
曲尺