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掻寄
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かきよ
ふりがな文庫
“
掻寄
(
かきよ
)” の例文
遺書と聞いたとき良三郎はびくりと足を縮めた、それから起直って衿を
掻寄
(
かきよ
)
せ、暫く封書の裏表を眺めたのち、震える手でそれを披いた。
山椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
昔しの法令条目の枯葉を紙上に
掻寄
(
かきよ
)
せしとは殊にて、今は活溌々たる政界の運動、文学美術に係る新現象の批評など、彼此と結びあはせて、力の及ばん限り
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
なぜなら、彼女は自分の顔に砂のとびかかるのも知らぬ気に美しい爪を逆立てて
掻寄
(
かきよ
)
せていたのだ——。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
折れたる
熊手
(
くまで
)
、新しきまた
古箒
(
ふるぼうき
)
を
手
(
て
)
ん
手
(
で
)
に
引出
(
ひきいだ
)
し、
落葉
(
おちば
)
を
掻寄
(
かきよ
)
せ掻集め、かつ掃きつつ口々に
唄
(
うた
)
う。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何と
凄
(
すご
)
からう。奴を
捩伏
(
ねぢふ
)
せてゐる中に
脚
(
あし
)
で
掻寄
(
かきよ
)
せて
袂
(
たもと
)
へ忍ばせたのだ——
早業
(
はやわざ
)
さね」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
私たちは散った花びらを
掻寄
(
かきよ
)
せて遊びました。女の子たちが続けて休むのを、病気かと思いましたら、掛茶屋へ手伝いに行くのだそうです。雨の日には皆来るので、それが分りました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
掻寄
(
かきよ
)
せられた落葉は道の曲角に空地も同様に捨てられた墓場の
隅
(
すみ
)
、または赤土の崩れから、杉の根が
痩
(
や
)
せひからびた老人の手足のように、気味わるく
這
(
は
)
い出している往来際に、うず高く積み上げられ
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「うむ。」と腰を
伸
(
のば
)
して老婆は起き、「やれ、
汚穢
(
むそ
)
うござります。」
藁屑
(
わらくず
)
を
掻寄
(
かきよ
)
せて
一処
(
ひとつ
)
に集め
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻寄
(
かきよ
)
せたあとが小高くなッてて、その上へ大きな石が乗ッけてあって、そこまで小銀が
辿
(
たど
)
って
行
(
ゆ
)
くと、
一条
(
ひとすじ
)
細うく
絶々
(
たえだえ
)
に続いていた胡麻のあとが無くなっていたでしょう。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
件
(
くだん
)
の
大笊
(
おおざる
)
を
円袖
(
まるそで
)
に
掻寄
(
かきよ
)
せ、湖の水の星あかりに口を向けて、
松虫
(
まつむし
)
なんぞを
擽
(
くすぐ
)
るやうに
笊
(
ざる
)
の底を、ぐわさ/\と爪で掻くと、手足を縮めて
掻
(
かい
)
すくまつた、
垢
(
あか
)
だらけの
汚
(
きたな
)
い屑屋が、ころりと出た。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
杖
(
ステッキ
)
の
柄
(
え
)
で
掻寄
(
かきよ
)
せようとするが、
辷
(
すべ
)
る。——がさがさと
遣
(
や
)
っていると、目の下の
枝折戸
(
しおりど
)
から——こんな
処
(
ところ
)
に出入口があったかと思う——
葎戸
(
むぐらど
)
の扉を明けて、
円々
(
まるまる
)
と肥った、でっぷり
漢
(
もの
)
が
仰向
(
あおむ
)
いて出た。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いい次ぎつつ、お
沢
(
さわ
)
の落葉を
掻寄
(
かきよ
)
する
間
(
ま
)
に、少しずつやや
退
(
すさ
)
る。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻
漢検準1級
部首:⼿
11画
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
“掻”で始まる語句
掻
掻巻
掻込
掻合
掻廻
掻消
掻口説
掻取
掻分
掻乱