持運もちはこ)” の例文
御苦労ごくらう御厚意ごかうい受取うけとつたが、おれきざんだをんなきとるぞ。貴様きさまたちに持運もちはこばれてはみちおこさう、自分じぶんでおんぶだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ごろに、坪井博士つぼゐはかせられたが、發掘はつくつよりは、焚火たきびはうさかんで格別かくべつことはなく、談話だんははうにばかり熱中ねつちうしてると、兒島邸こじまてい侍女じぢよ牛乳入ミルクいり珈琲コーヒー持運もちはこんでた。
時々とき/″\使童ボーイ出入しゆつにふして淡泊たんぱく食品くひもの勁烈けいれつ飮料いんれう持運もちはこんでた。ストーブはさかんえてる——
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
……其だと蔵屋の人数にんずばかりでは手が廻りかねる。時とすると、ぜん、家具、蒲団ふとんなどまで、此方こっちから持運もちはこぶのだ、と云ふのが、頃刻しばらくして美人たおやめの話で分つた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三の烏 れほどのものを、(天幕テントを指す)持運もちはこびから、始末まで、俺たちが、此の黒い翼で人間の目からおおうて手伝ふとはさとり得ず、すすきの中に隠したつもりの、彼奴等あいつらの甘さがたまらん。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)