“持参(じさん)” の例文
旧字:持參
兎も角もランプをつけて、東京から櫃(おはち)ごと持参(じさん)の冷飯で夕餐(ゆうげ)を済まし、彼等夫妻は西の六畳に、女中と三吉は頭合せに次の六畳に寝た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
私(わたくし)が自身(じしん)で持参(じさん)したのはただ母(はは)の形見(かたみ)の守刀(まもりがたな)だけで、いざ出発(しゅっぱつ)と決(きま)った瞬間(しゅんかん)に、今(いま)まで住(す)んで居(い)た小屋(こや)も、器具類(きぐるい)もすうっと消(き)え失(う)せ
テイラー博士「しかし余のこの報告が終了する頃までには、余の助手がここへ持参(じさん)出来る筈であったが、どうしたものか、未(いま)だに姿が見えぬ」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
役人(やくにん)は、うなずいて、さっそく、その茶(ちゃ)わんを御殿(ごてん)へ持参(じさん)するように申(もう)しつけて帰(かえ)られました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、恁(か)う言(い)ふのを信(しん)じないで、私(わたし)に任(ま)かせることを不安心(ふあんしん)と思(おも)ふなら、提灯(ちやうちん)の上(うへ)に松明(たいまつ)の数(かず)を殖(ふや)して、鉄砲(てつぱう)持参(じさん)で、隊(たい)を造(つく)つて、喇叭(らつぱ)を吹(ふ)いてお捜(さが)しなさい、其(それ)は御勝手(ごかつて)です。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
主人と妻と女児(むすめ)と、田の畔(くろ)の鬼芝(おにしば)に腰を下ろして、持参(じさん)の林檎(りんご)を噛(かじ)った。背後(うしろ)には生温(なまぬる)い田川(たがわ)の水がちょろ/\流れて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
乙吉は幾度も係官の前に迷惑をかけたことを謝(しゃ)し、屍体は持参(じさん)の棺桶(かんおけ)に収(おさ)め所持品は風呂敷(ふろしき)に包んで帰りかけた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
月番(つきばん)になっては、慰兵会費を一銭ずつ集めて廻って、自身役場に持参(じさん)した。村の耶蘇教会にも日曜毎(にちようごと)に参詣して、彼が村入して程なく招(まね)かれて来た耳の遠い牧師の説教(せっきょう)を聴いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)