拷問がうもん)” の例文
拷問がうもん牢問らうとひは、牢番與力配下の不淨ふじやう役人の仕事で、手前共手先御用聞の役目では御座いません、恐れ乍らその儀は御容赦を願ひます」
嚴敷きびしく拷問がうもんに掛られし所つひつゝかくす事能はず是迄の惡事あくじ追々おひ/\白状にぞ及びける又平左衞門が宅を穿鑿せんさくなせしにつかのこりの金子六百兩出たり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いくら拷問がうもんにかけられても、らないことまをされますまい。そのうへわたしもかうなれば、卑怯ひけふかくてはしないつもりです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それから彼女かのぢよ毎晩まいばん惡夢あくむた。片山かたやま後手うしろでしばげられてうへからるされてゐる、拷問がうもんゆめである。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
ベンヺ 拷問がうもん! なんの、たゞまッすぐに自白はくじゃうなされといふのぢゃ。
拷問がうもん
偏奇館吟草 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「それで足の指を並べて、縛つたに違ひあるまい。その上猿轡を噛ませれば、どんな拷問がうもんにかけても、グウとも言へない筈だ」
とぢて居ければ此上はことばを以て諭さん樣もなく拷問がうもんに及ぶより外はなしと思はれしなり然れどもなほしづかに長庵を見られ如何に長庵ふだつじ人殺ひとごろしのつみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
船虫ふなむし瞽婦ごぜに身をやつして、小文吾こぶんごを殺さうとする。それが一旦つかまつて拷問がうもんされた揚句に、荘介さうすけに助けられる。あの段どりが実に何とも申されません。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ロミオ 白状はくじゃうせいとは、わし拷問がうもん苦痛くるしみをさせうとてか?
「明朝までに御墨附が返らなければ、生きてお前に逢ふのもこれ限りだ、——その娘とやらを拷問がうもんにかけても、御墨附の在所ありかを訊してくれ」
吟味ぎんみに及ばれけるが只々伊賀亮いがのすけ萬事を取計ひしゆゑ委細いさいは存じ申さずと云に然らばとて常樂院其餘の者を吟味ぎんみするに是も同斷の答へゆゑ入牢の上嚴重に拷問がうもん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
縛つて拷問がうもんにかけて、猫の子を何處へやつたか白状さしてくれと、氣違ひのやうになつて飛込んで來たお神さんがあつたが、あんなのは困るよ
與母吉は拷問がうもんにまで掛けられて居ると聽きましたが、頑固ぐわんこに口をつぐんで白状せず、事件はそれつ切り足踏みをして、正月十五日になつたのです。
拷問がうもんでもされて見たいくらゐ——と言はうとして、さすがに氣がさして、お粂は默つてしまひました。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
言ふまでもなく用人相澤半之丞の妾お組といふのが、雁字がんじがらめにされて、水をブツかけられたり、弓の折れで打たれたり、芝居のせめを其儘の拷問がうもんにかけられて居るのです。
「お前は亂暴でいけない。證據のない者を縛つて、拷問がうもんにかけるのは、町方役人の恥だよ」
同じニセ首でも、こちとらのやうなのだと、いきなり縛り上げて拷問がうもんにかけられる
平次、お蔭でよく解つたよ。明日は拷問がうもんに掛けても萬三郎の口を割つて見せると利助は言つて居るが、この分ではそんな事をさせるわけには行くまい。此上とも利助に遠慮をせずに骨を
品を替へめ立てますが、お吉は執拗しつあうに口をつぐんで、悲しくも眼を伏せるばかり、まさか拷問がうもんにかけるわけにも行かず、二三日の後には、石原の利助も少し持て餘し氣味になりました。
「お、お倉ぢやないか、拷問がうもんされて居るといふのは——」