じょ)” の例文
都筑駿河つづきするがの役宅には例の徒士目付かちめつけが三人を待ち受けていて、しばらく一室に控えさせた後、訴えじょの方へ呼び込んだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
案内あんない猪飼八兵衛いがいはちべえはかけもどって、おくりこまれた徳川家とくがわけ家臣かしん三名、やりぶすまの間をとおってひかえじょに待たされた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三十三じょってある石標せきひょうを右に見て、紺屋こんやの横町を半丁ほど西へ這入はいるとわが門口かどぐちへ出る、いえのなかは暗い。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それでな、そのみやげにいちばんいい馬をもってきたものに、このこなひきじょをあげる。そのかわり、この小屋こやをもろうたものは、わたしを、死ぬまでやしのうてくれるのだぞ
これまでの僕の知識によると、料理店の構造は、まず玄関を入ると、お帽子ぼうし外套がいとうあずかりじょがあり、それから中へはいると広間があって、ここで待合わせたり、茶をのんだりする。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あなたのひかじょ出張でばっていた典医衆てんいしゅうは、なにがなにやらわからないが、とにかく、び立つこえがしきりなので、薬籠やくろうをかかえてその人なかへかけつけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
栄吉は問屋場の御改おあらたじょになっている小さい高台のところへ来て、その上に手を置き、吉左衛門はまたその前の羽目板はめいたに身を寄せ、蹴込けこみのところに立ったままで
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もうなが年、こんきよく、おもたい袋をせなかにのせて、粉ひきじょへかよっていました。
……とうとうたる太鼓たいこ……かたのごとき黄母衣きほろ赤母衣あかほろ白母衣しろほろ伝令でんれいが、番外ばんがいの五番試合じあい各所かくしょひかじょへふれて、にじのように試合場しあいじょうのまわりを一じゅんする……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古市の出屋敷とは、つまり出張でばじょのことだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)