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憤
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む
ふりがな文庫
“
憤
(
む
)” の例文
いつも
憤
(
む
)
つとしてゐるやうな不気嫌さうな赤銅色の大きな顔で相手が何か話しかけても碌な返事もせず
反方
(
そつぽ
)
の空ばかり向いてゐるのだ。
その村を憶ひて
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
一時は、
憤
(
む
)
っとして、門に
唾
(
つばき
)
して去ろうとまで思ったが、武蔵は、そう解釈して、寝ころんでいた。かぞえても幾人もない親類である。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、ふりかえりもせぬ鋸屋に
憤
(
む
)
ッと腹を立てていた。駈けつけて相手の襟がみをひッ
掴
(
つか
)
んだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
まるで
揶揄
(
やゆ
)
されているような気がする。
憤
(
む
)
ッとした顔を雲八の耳のそばへつき出して、勝家は
破
(
わ
)
れ
鐘
(
がね
)
のような声でいった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
互ひに
憤
(
む
)
ツとした顔をして、決して視線を合せなかつた。——それが酔つた場合になると
恰
(
まる
)
で親しい友達か何かのやうに盛んに喋り出すのだつた。
熱海へ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
けれど、宗易が、余りに平然とそれをいったので、気をのまれて、その
嚇怒
(
かくど
)
も、ひとみの底に、
憤
(
む
)
ッと見えただけだった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……」此方は、一切沈黙だ、別段きまりが悪くもない、たゞ
憤
(
む
)
ツとしてゐてやれ!
熱い風
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
吉次はまた、
憤
(
む
)
かッ
腹
(
ぱら
)
らしい。社家はどこやらと、知らぬような事を云ったくせに、すたすた大股に彼方へ歩いてゆく。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
七郎は聞いてゐなかつたので、知らない旨を答へると太一郎は、
憤
(
む
)
ツとして
南風譜
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
他人
(
ひと
)
がいようといまいと気にもかけない。——又八はそれに対して
憤
(
む
)
っとした反抗を顔に示して
睨
(
ね
)
め
返
(
かえ
)
している。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あなたは誰に頼まれたんです、そんなことを!」林が
憤
(
む
)
つとして答へた。
村のストア派
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
憤
(
む
)
っとなる気持をどうしようもない。はるばるこの山里まで鍛冶屋の女房に笑われに来たようなものである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雪子は
憤
(
む
)
つとして、自分の部屋に引きあげて、窓から様子を見てゐた。
ダイアナの馬
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
権ぺいに
吩咐
(
いいつ
)
けがましくいうことが、今のお通には、
謂
(
いわれ
)
なく思われて、
憤
(
む
)
っと反感をあおられてならない。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は
憤
(
む
)
つとして、回れ右をし、独りですたすたと歩き出した。
彼に就いての挿話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
年は
老
(
と
)
っても、こういうことには我慢のならない
婆
(
ばば
)
であった。ついこの年頃まで、郷里では、本位田家の隠居で通った
権式
(
けんしき
)
ぐせが、とたんに
憤
(
む
)
っと出るのである。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青野は
憤
(
む
)
ツとして打ち消した。「笑ふどころか……」
ラガド大学参観記:(その一挿話)
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
公卿
(
くげ
)
の
館
(
やかた
)
にはいても、太刀をさしていた人間の根性として、余りに、相手が
横柄
(
おうへい
)
であったり、人をのんでかかってくると、つい、
憤
(
む
)
っとするものが、こみあげてくる。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やはり
憤
(
む
)
ツとした態度を保つてゐた。
明るく・暗く
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
憤
(
む
)
っとしたに違いない、武蔵は足を止め、そして自分に
嘲罵
(
ちょうば
)
をあびせた堂衆をねめつけた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこまで至ると、武蔵はすこし
憤
(
む
)
かついて来て、青年の一徹を示し、昂然といった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
死人の枕元で、涙ぐんでいた多感らしい門人が、途端に
憤
(
む
)
ッとした眼を上げて
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聞いているうちに、吉五郎の顔いろには、
憤
(
む
)
かッとしたものが
漲
(
みなぎ
)
っていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庄次郎は、
憤
(
む
)
ッとしたが、健吉の眼を、見ていることができなかった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漠然
(
ばくぜん
)
と、ただ
揶揄
(
やゆ
)
されたように受け取ったらしい。
憤
(
む
)
ッと色をなして
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憤
(
む
)
っとして武蔵が、何を笑うかというと、その男はなお笑って
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵は、理由なく自分を
忌
(
い
)
み
厭
(
きら
)
う人間に、
憤
(
む
)
ッとしたらしく
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼を落して、
辱
(
はずかし
)
められでもしたように、
憤
(
む
)
っと色をなして
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新見弥七郎は、
憤
(
む
)
っと顔をそむけたまま、立ち去った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憤
(
む
)
ッとしたらしい。直義は石を離れて突ッ立った。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弁円
(
べんえん
)
は、横になりかけたが、
憤
(
む
)
ッと、身を起して
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奥にいたお甲は、
憤
(
む
)
っと、立って来て
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
花世は、すこし
憤
(
む
)
っとしたように
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
憤
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“憤”を含む語句
憤々
憤怒
憤然
御憤
憤懣
鬱憤
憤激
欝憤
憤怨
義憤
憤恨
憤恚
発憤
憂憤
憤気
憤慨
悲憤
余憤
悲憤慷慨
大憤慨
...