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憎
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にくし
ふりがな文庫
“
憎
(
にくし
)” の例文
そんなにお
憎
(
にくし
)
みの光子様をなぜまた連戻そうとなさいますね。馬車で公然と御迎えになりますれば、私は喜んであの方をお渡し申します。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あるいは、もしそれまでの
己
(
おれ
)
があの女を愛していなかったとしたら、あの日から己の心には新しい
憎
(
にくし
)
みが生じたと云ってもまた
差支
(
さしつか
)
えない。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
憎
(
にくし
)
みも、怒りも、友情も、そして恋も、向い合って
直
(
す
)
ぐ相手の心を読み取れるとしたら、世の中は、どう変貌するか、試みに考えて見て下さい。
奇談クラブ〔戦後版〕:14 第四次元の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかもその恋は、あの
破綻
(
はたん
)
の日以来、一層その熱度を増したかとさえ思われたのである。今や烈しき恋と、深い
憎
(
にくし
)
みとは、一つのものであった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これではいけないとたとえ遠くからでも無理にも真佐子を眺めて
敵愾心
(
てきがいしん
)
やら嫉妬やら、
憎
(
にくし
)
みやらを絞り出すことによって、意力にバウンドをつけた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
もう世の中の他の
凡
(
すべ
)
ては、彼の頭から消え去った。国家も社会も法律も、父も母も妹も、恐怖も
羞恥
(
しゅうち
)
も、愛も同情も。たゞ恐ろしい
憎
(
にくし
)
み丈が残った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
文「ウーム、
何処
(
どこ
)
まで天道様は此の文治をお
憎
(
にくし
)
みなさるか、これしきの雨、何程のことやある、それッ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
叔父を恐れないように成ってからの節子の
瞳
(
ひとみ
)
は、叔父に対する彼女の強い
憎
(
にくし
)
みを語っているばかりでも無かった。どうかするとその瞳は
微笑
(
ほほえ
)
んでいることもあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
憎
(
にくし
)
みを、
満腔
(
まんこう
)
に忍んで、彼はやがて
仇敵
(
かたき
)
どもがすすめる杯を、今夜も重ねねばならぬのだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
老爺どのとんだお
憎
(
にくし
)
みを受けたものだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
たゞ恐ろしい
憎
(
にくし
)
み
丈
(
だけ
)
が残つた。その憎みは、爆発薬のやうな烈しさが、彼の胸の裡を縦横にのたうつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
柚木はみなし
茹
(
ゆ
)
で栗の水っぽくぺちゃぺちゃな中身を
聯想
(
れんそう
)
して苦笑したが、この頃みち子が自分に
憎
(
にくし
)
みのようなものや、反感を持ちながら、妙に粘って来る態度が心にとまった。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
雪之丞は、父親の、あの悲しみと
憎
(
にくし
)
みとに燃えた、みじめな最後のすがたを思い出す。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
彼は、愛も
憎
(
にくし
)
みも、
乃至
(
ないし
)
また性欲も忘れて、この
象牙
(
ぞうげ
)
の山のような、巨大な
乳房
(
ちぶさ
)
を見守った。そうして、驚嘆の余り、寝床の汗臭い
匂
(
におい
)
も忘れたのか、いつまでも
凝固
(
こりかた
)
まったように動かなかった。
女体
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
過ぐる四五箇月の間、ある時は
恐怖
(
おそれ
)
をもって、ある時は強い
憎
(
にくし
)
みをもって、ある時はまた親しみをもって叔父に対して来たような動揺した心の節子に比べると、その中には何となく別の節子が居た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
信一郎は、夫人の白々しい態度に、心の底まで、
憎
(
にくし
)
みと
憤怒
(
ふんぬ
)
とで、煮え立っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
けれどもこの人の、いまの静けさに
憎
(
にくし
)
みを返す人があろうか。この人のわたしを
庇
(
かば
)
い通した永い年月を
他所
(
よそ
)
ながら眺めてその人達も
恨
(
うらみ
)
をおさめて居るに相違あるまい。もういくたりの
児
(
こ
)
の父となって。
愛よ愛
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
快活な姉の輝子とも違い、
平素
(
ふだん
)
から節子は口数も少い方の娘であるが、その節子の黙し勝ちに憂い沈んだ様子は彼女の無言の
恐怖
(
おそれ
)
と
悲哀
(
かなしみ
)
とを、どうかすると彼女の叔父に対する強い
憎
(
にくし
)
みをさえ語った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
恋か
憎
(
にくし
)
みで押し通す女なのだが。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
みち子はそれ以後何故とも知らず、しきりに柚木に
憎
(
にくし
)
みを持った。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
憎
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
“憎”を含む語句
憎悪
生憎
愛憎
可憎
心憎
面憎
憎々
小憎
相憎
憎惡
合憎
憎気
憎體
居憎
憎怨
憎体
小面憎
生憎様
憎態
言憎
...