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微吟
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びぎん
ふりがな文庫
“
微吟
(
びぎん
)” の例文
「皇室の衰微もはなはだしい。
王覇
(
おうは
)
の差別もなくなってしまった。どうともして本道へ返さなければならない」徳大寺卿は
微吟
(
びぎん
)
をした。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
謙信の多感はなお
微酔
(
びすい
)
をのこしているのか、
夕餉
(
ゆうげ
)
の後、ひとり唐琴を膝に乗せて、指に七絃を弾じ、
微吟
(
びぎん
)
に万葉の古歌をうたっていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
妾
(
しょう
)
を
放
(
はな
)
て、そうすれば、
魚
(
うお
)
に
騎
(
き
)
し、波を
撇
(
ひら
)
いて去らん、というのを
微吟
(
びぎん
)
して、思わず、
襟
(
えり
)
にはらはらと涙が落ちる。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「美くしき多くの人の、美くしき多くの夢を……」と
髯
(
ひげ
)
ある人が二たび三たび
微吟
(
びぎん
)
して、あとは思案の
体
(
てい
)
である。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平地
(
へいち
)
を行く時は大得意、馬上ゆたかに四囲の山々を眺め回わし、
微吟
(
びぎん
)
に興をやって、ボコタリボコタリ進む。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
▼ もっと見る
彼は小野の
館
(
たて
)
(陸前のくに桃生郡小野)を出て来たところで、いい気持に酔っているらしく、歩きながら唐詩を
微吟
(
びぎん
)
したり、鼻唄をうたったりしてい、腰の両刀が重たそうに見えた。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
微吟
(
びぎん
)
しながら行くうしろ影の淋しさ。主水之介またつねにわびしく寂しい男です。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
鞭声
(
べんせい
)
粛々
(
しゅくしゅく
)
夜
(
よる
)
河
(
かわ
)
を渡る」なぞと、古臭い詩の句を
微吟
(
びぎん
)
したりした。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さっき、有村がここに立って、討幕の詩を
微吟
(
びぎん
)
していた時は、
屹然
(
きつぜん
)
としていた捨曲輪の石型や櫓が、みじめに
歪
(
ゆが
)
みくずれている。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう云うと三太夫は
微吟
(
びぎん
)
した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あがられるとよく小姓衆に
小唄舞
(
こうたまい
)
など求められ、ご自身も即興を
微吟
(
びぎん
)
あそばしたりなされる。官兵衛、御辺には何ぞ芸があるか
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かれは
飄々
(
ひょうひょう
)
と歩みかけた。弦之丞を射った得意や思うべしである。五、六歩、何か
微吟
(
びぎん
)
に
謡
(
うたい
)
のひとふしを口ずさんでいた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
憂
(
うれ
)
いなき栄養に肥えた紅顔は魚のごとく
溌剌
(
はつらつ
)
とし、海を見れば、おのずから禁じ得ぬもののごとく、自作討幕の詩を、いい気もちで
微吟
(
びぎん
)
しだした。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お菊ちゃんは、自分は杯へ手も触れないくせに、人へ
酌
(
さ
)
すのは好きだった。酔うと、武市は
嗜
(
たしな
)
む古詩を
微吟
(
びぎん
)
し、桂は、即興の
都々逸
(
どどいつ
)
を作って見せたりした。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて、日が暮れると、若い孔明は、
梁父
(
りょうほ
)
の歌を
微吟
(
びぎん
)
しながら、わが家の灯を見ながら山をおりて行く——。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の歌を
微吟
(
びぎん
)
してゆくうちに光秀は、われとわが身をあわれむような心地になって、はらはらと落涙した。宿老旗本、囲いの中の者すべて、みな
嗚咽
(
おえつ
)
し、或いはすすり泣いた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、彼には珍らしい
微吟
(
びぎん
)
を
口誦
(
くちず
)
さみなどしつつ、浮き浮きと見物して廻っていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど、大根の花、菜の花、
朧夜
(
ろうや
)
の
微吟
(
びぎん
)
も
主
(
あるじ
)
の好むところである。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歩みつつ上下の句を一聯して、口のうちで
微吟
(
びぎん
)
していた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鼓
(
つづみ
)
を打ち、
謡
(
うたい
)
を
微吟
(
びぎん
)
し、いと楽しく夜を
更
(
ふ
)
かした。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“微吟”の意味
《名詞》
微 吟(びぎん)
小声で詩歌などを口ずさむこと。
(出典:Wiktionary)
微
常用漢字
中学
部首:⼻
13画
吟
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“微”で始まる語句
微笑
微
微塵
微風
微行
微妙
微暗
微酔
微醺
微睡