御慰おなぐさ)” の例文
研究と申すほどの大袈裟おおげさな文字はいかがわしいが、説明のしようによると、なかなかえらく聞えるようにできますから御慰おなぐさみになります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
でも、先にそれを云ってしまっちゃ御慰おなぐさみが薄い。まあ当り前の、エー、お惚気のろけのつもりで聞いて下さいよ。
モノグラム (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
代りの御慰おなぐさみにと云ってよこしたもので、王のへやの真中の象牙張ぞうげばりの机の上にかごに入れて置いてあったが、奇妙な事にはその歌う声が昨夜ゆうべ夢のうちで聞いた美留女姫の声にそっくりで
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
御慰おなぐさみになるべくは御相手おあいてつかまつるべし。」
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
エーと、が、それのみにては御慰おなぐさみが薄い様にござります。かように斬りさいなみましたる少女の首を、ザックリ、切断致し、これなるテーブルの上に、さらくびとござあい。ハッ
踊る一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
このみせまがかどかげになつたところで、くろ山高帽やまたかばうかぶつた三十ぐらゐをとこ地面ぢめんうへ氣樂きらくさうに胡坐あぐらをかいて、えゝ御子供衆おこどもしゆう御慰おなぐさみとひながら、おほきな護謨風船ごむふうせんふくらましてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
山高帽やまたかばうをとこにぎやかなまちすみに、ひややかに胡坐あぐらをかいて、周圍まはり何事なにごとおこりつゝあるかをかんぜざるものゝごとくに、えゝ御子供衆おこどもしゆう御慰おなぐさみとつては、達磨だるまふくらましてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この店の曲り角の影になった所で、黒い山高帽をかぶった三十ぐらいの男が地面の上へ気楽そうに胡坐あぐらをかいて、ええ御子供衆の御慰おなぐさみと云いながら、大きな護謨風船ゴムふうせんふくらましている。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)