御室みむろ)” の例文
せめては筆の跡ばかりをみやこうちに入れさせ給へと、九七仁和寺にんわじ御室みむろもとへ、経にそへてよみておくりける。
仁和寺にんなじ御室みむろ守覚しゅかく法親王が参内、孔雀経くじゃくきょうの法で祈り、天台座主覚快かくかい法親王も揃って祈祷した。これは変成男子へんじょうなんしの法という秘法で、胎内の女児を男児に変成するものである。
たまくしげ御室みむろやまのさなかづらさずはつひにありがつましじ 〔巻二・九四〕 藤原鎌足
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
またみさき大蛇灘おろちなだいて、めぐつて、八雲崎くもさき日暮崎くれのさき鴨崎かもさき御室みむろ烏帽子岩えぼしいは屏風岩べうぶいは剣岩つるぎいは、一つ一つ、かみおのち、おにが、まさかりおろしたごとく、やがては、巨匠きよしやう名工めいこうの、鑿鏨のみたがねさえ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
仁和寺にんなじ御室みむろ守覚しゅかく法親王は孔雀の法、天台座主覚快かくかい法親王は七仏薬師ぶつやくしの法、三井寺の円慶えんけい法親王は金剛童子の法、そのほか五大虚空蔵ごだいこくうぞう、六観音から、普賢延命ふげんえんめいにいたるまで
御室みもろく」は、御室みむろいつくの意で、神をまつってあることであり、三輪山の枕詞となった。「隠口こもりく」は、こもくにの意で、初瀬の地勢をあらわしたものだが、初瀬の枕詞となった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ふたゝふ、東向ひがしむかうに、そのくも日暮崎くれのさき御室みむろしようならんで半島はんたう真中まんなかところくもよりすべつてみづうみひた巌壁がんぺき一千ぢやういたゞきまつ紅日こうじつめ、夏霧なつぎりめてむらさきに、なか山肌やまはだつちあかく、みぎは密樹緑林みつじゆりよくりんかげこまやかに
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)