とぶら)” の例文
受るも口惜くちをしと父樣はとてもうかまれまじきにより私しこと早々さう/\江戸えどへ參り實否をうけたまはり自然此書中の如くに候へばほねを拾ひ御跡おんあととぶらひ申さんと云を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
主人あるじはいとど不憫ふびんさに、その死骸なきがらひつぎに納め、家の裏なる小山の蔭に、これをうずめて石を置き、月丸の名も共にり付けて、かたばかりの比翼塚、あと懇切ねんごろにぞとぶらひける。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
年中あくせくとして歳月の廻るに支配されている外に何らの能事のうじも無い。次々と来る小災害のふせぎ、人をとぶらい己れを悲しむ消極的いとなみは年として絶ゆることは無い。水害又水害。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
をり々あの家にゆきて、せ給ふ人の一三五菩提ぼだいとぶらはせ給ふなり。此の翁こそ月日をもしらせ給ふべしといふ。勝四郎いふ。さては其の翁のみ給ふ家は何方いづべにて侍るや。あるじいふ。
始め彼三五郎鴻の巣なる鎌倉屋金兵衞其ほか野州やしう浪人八田掃部三加尻茂助練馬藤兵衞などの菩提ぼだいとぶらひ又元栗橋の隱亡をんばう彌十などの安穩あんをんに歸島致す樣祈祷きたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほねをひろひつかきて九五塔婆たふばいとなみ、僧を迎へて菩提ぼだいのことねんごろにとぶらひける。
ひろひ念頃ねんごろとぶらたくぞんじたづね候と申ゆゑ數多あまたの骨の中にていかでか是が親の骨と分かるべきやと申候に彦三郎しぼり骨へかける時は他人たにんの骨へは染込しみこむ事なく父の骨なれば染込候ゆゑゆび噛切かみきり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)