たい)” の例文
此の観音様も段々繁昌して参り、お比丘さんにおきゅうえて貰えのおまじないをして貰いたいのといって頼みに来るから、私も何も知らないが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さてまた此大したお金を何ぞいことにつかたいと思ふにつけ、さき/\のかんがへが胸のうちに浮んで来ましたが、いづれも夢か幻のやうくうな考へでした。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
段々御やつれなされてと常にも似ずしほるゝに、それは/\知ぬ事とて御見舞もせなむだがさぞまあ旦那樣だんなさまは御心配、御可哀想に早く御全快おさせもふしたい
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
病院びやうゐんです、もううから貴方あなたにもいたゞたいおもつてゐましたのですが……めう病人びやうにんなのです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一体は亀屋の亭主に御前の身の上あらましききて、失礼ながら愍然かわいそうな事や、わたしが神か仏ならば、こうもしてあげたいああもしてやりたいと思いましたが、それも出来ねばせめては心計こころばかり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
チャーンと知た者で無くてはいけない是ばかりは教えたいにも教え様が無いから誠に困るテ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ああ、恥かしくて顔がほてる。何たる苦々しい事であった。私は当時の事を想いいだたびに、人通りの多い十字街よつつじに土下座して、通る人毎に、踏んで、蹴て、唾を吐懸けて貰いたいような心持になる……
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「お前に逢いたいからさ」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おまへもい事をしたいとおもはないではないが、一生懸命にならないからいけませんよ。それが熱心でないといふのです。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
たれでも善事よいことをしたくないとおもふ人はないが、本気になつて、一心にそれをしようと思ふ人と好加減よいかげんに上つらでしたいと思ふ人とで大変な違ひになるんですよ。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)