巴里パリイ)” の例文
巴里パリイの家の大きな三つの姿見に毎日半襟と着物のつりあひを気にして写し抜いた事などが醜い女のねたみのやうに胸を刺すのであつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
帽も上衣うはきジユツプも黒つぽい所へ、何処どこか緋や純白や草色くさいろ一寸ちよつと取合せて強い調色てうしよくを見せた冬服の巴里パリイ婦人が樹蔭こかげふのも面白い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
先方むこうじゃあ巴里パリイで、麺麭パンを食ってバイブルを読んでいた時に、こっちじゃあ、雪の朝、ふるえてるのを戸外おもてへ突出されて、横笛の稽古けいこをさせられたんだ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
必ず巴里パリイ仕立ての洋服を着用した、どこまでも開化の紳士を以て任じていた三浦にしては、余り見染め方が紋切型もんきりがたなので、すでに結婚の通知を読んでさえ微笑した私などは
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
はじめ暁星ぎょうせい学校の教科書を読むのも辛かったが、一年程通っているうちに、ふいと楽に読めるようになった。そこで教師のベルタンさんに頼んで、巴里パリイの書店に紹介して貰った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おれは「巴里パリイへ行く汽車は何時に出るか」と問うてみた。
(新字新仮名) / オシップ・ディモフ(著)
あんなに詰めかけて来るとほかの者がひやひやするのですもの、巴里パリイにいさんもそれが案じられると云つてられるのですからね。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
昨夜は柏亭とゲエテまちのカジノ・ド・モンパルナスと云ふ寄席よせへ行つた。巴里パリイ東部の場末に近い所だからこの街の附近には労働者が沢山たくさん住んで居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
モウパッサンが普仏ふふつ戦争を題材にした一篇の読みだしは、「巴里パリイは包囲されて飢えつつもだえている。屋根の上に雀も少くなり、下水のごみも少くなった。」
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巴里パリイEmileエミル Henryアンリイ とかいうやつが探偵の詰所に爆裂弾を投げ込んで、五六人殺した。それから今一つの玉を珈琲店コオフィイてんに投げ込んで、二人を殺して、あと二十人ばかりに怪我をさせた。
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この現象は、巴里パリイの平和会議において、我国の講和委員たちが「資本家と労働者との関係が世界とはちがった別種の道徳の中に調和されている」
階級闘争の彼方へ (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
ばしつた人づきあひのい細君は「しかし日本から詩人として巴里パリイへ来たのはお前さんが初めてだ」などとお世辞を言ふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
竹永さん、金之助やまいのためにこの境に処して、なお巴里パリイ伊太利イタリイの歌に魂を奪われず。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ProudhonプルウドンBesançonベサンソン の貧乏人の子で、小さい時に、活字拾いまでしたことがあるそうだ。それでもとうとう巴里パリイで議員に挙げられるまでぎ付けた。大した学者ではない。
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
現に巴里パリイの講和会議で「国際連盟」が討議されているように、個人の道徳生活の範囲はあらゆる民族とあらゆる国家との保存を包容したものの全体
婦人も参政権を要求す (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
父はさき仏蘭西フランスの公使館づきであったから、勇美子は母とともに巴里パリイに住んで、九ツの時から八年有余、教育も先方むこうで受けた、その知識と経験とをもて、何等かこの貴公子に見所があったのであろう
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巴里パリイInstitutアンスチチュウ PasteurパストヨオルMetschnikoffメチュニコッフ というロシア人がいる。その男は人間の体が年を取るに従って段々石灰化してしまうのを防ぐ工夫をしているのだがね。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
派手な巴里パリイに住みながら
“MONICO” (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
うちでもおてるさんが心配して居るらしいですわね、畑尾さんの所へ巴里パリイから来た手紙が余り大層に書いてあつたらしいですわね、さうだもんだから。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
乘客係が來て莫斯科から連絡する巴里パリイ迄の二等車の寢臺が賣切れたから一等許りのノオルド・エキスプレスに乘つては何うかと云つた。八十圓増して出せば好いと云ふのである。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ウィルソンは巴里パリイのソルボンヌ大学の演説で「大学の精神は自由にあり」という事を述べましたが、大学をすら官僚の牙営がえいに供して、その独立自由を確保しない我国の教育者は
激動の中を行く (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
私はピカデリイやグラン・ブルヴァルの繁華な大通で、倫敦ロンドン人や巴里パリイ人の車馬と群衆とが少しの喧囂けんごうも少しの衝突もせずに軽快な行進を続けて行くのを見て驚かずにいられなかった。
鏡心灯語 抄 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
公娼にも巴里パリイのそれのように散娼と集娼とがあり、私娼にも散娼と集娼とがある。
私娼の撲滅について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
私は巴里パリイで幾人かの有夫女子の会社員や工場労働者の家庭を見ましたが、朝は子供を学校まで送って行き、正午は勤め先から学校へ子供を迎えに行って、同時に他の勤め先から帰って来た良人と
その下より巴里パリイの新聞に包みたる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ゆふべ巴里パリイを思ひでつれば。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「君を思ふ」と巴里パリイあてに。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
宵の巴里パリイを眺めけり。
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
巴里パリイの宿の朝寝髪
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)