左右とかく)” の例文
さるほどに親族うからおほくにもうとんじられけるを、くちをしきことに思ひしみて、いかにもして家をおこしなんものをと左右とかくにはかりける。
調とゝのへ來り左右とかくもの事はいはひ直さばきよきちへんずべしと申すゝめ兩人して酒宴しゆえんもよほせしが靱負ゆきへは元よりすきさけゆゑ主が氣轉きてんあつがんに氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
左右とかくして、婦人をんなが、はげますやうに、すかすやうにしてすゝめると、白痴ばかくびげてへそもてあそびながらうたつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
イワン、デミトリチははじめのうち院長ゐんちやう野心やしんでもるのではいかとうたがつて、かれ左右とかくとほざかつて、不愛想ぶあいさうにしてゐたが、段々だん/\れて、つひにはまつた素振そぶりへたのでつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わたし此春先このはるさき——こと花見頃はなみごろ時候じこうになると、左右とかくのうわるくするのが毎年まいねんのお定例きまりだ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
左右とかくする内、二三ヶ月たって、お光十五の二月となった。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
すゝみ何と此文はおぼえが有りませう彌太八とやらの歸りしあとに此文が落てありしは天命ならん然し左右とかくに爭ひ給はゞ此文を以て御上へうつたへ御吟味を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
惣領そうりやうに相立度旨願ひし處願の通り仰付られしゆゑ主税之助はかねての望みの如くなりしとて大いによろこびしと雖も先代よりの家來は左右とかく藤五郎兄弟を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)