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こおんな
ふりがな文庫
“
小婢
(
こおんな
)” の例文
路次の奥から美しい
女轎
(
おんなかご
)
がぞろと出て来た。お供は
小婢
(
こおんな
)
の
迎児
(
げいじ
)
と、
舅
(
しゅうと
)
の
潘
(
はん
)
爺
(
じい
)
さんとで、二人とも
清々
(
すがすが
)
した
外出姿
(
よそゆきすがた
)
、常ではない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ザビーネの
仕度
(
したく
)
がととのわないうちに、
小婢
(
こおんな
)
が帰ってしまうこともたびたびだった。すると客は、店の入口の
鈴
(
ベル
)
を鳴らした。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
わずかに残された探索として希望をつなぎうるものは、事件の前後に受け持ちとして出ていった
小婢
(
こおんな
)
があるばかり——。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
小婢
(
こおんな
)
一人留守して居る処に来ては、茶をくれ、飯をくれ、果てはお前の着て居る物を脱いでくれ、と
強請
(
ねだ
)
って、婢は一ちゞみになったことがある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
久助の下に、ふたりの
小婢
(
こおんな
)
が出て来て、酒と料理をはこんだ。そのおんなたちも、おせい様がやかましいので、立ち居ふるまいもしとやかであった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
章子は、獅々舞いが子供を嚇すように胸を拳でたたきたたき笑いこけている
小婢
(
こおんな
)
の方へじりじりよって行った。
高台寺
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
老婆
一人
(
ひとり
)
と
小婢
(
こおんな
)
と同宿人一人との気兼ねなさと、室が
日光
(
ひあた
)
りがよくて気に入ったのと、
食物
(
たべもの
)
のまずい代りに比較的安価なのと、引越の面倒くさいこととのために
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
背のすらりとした綺麗な女が青い上衣を著た
小婢
(
こおんな
)
に小さな包みを持たせて雨に濡れて立っていた。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
葉子の叔母は葉子から二三
間
(
げん
)
離れた所に、
蜘蛛
(
くも
)
のような白痴の子を
小婢
(
こおんな
)
に背負わして、自分は葉子から預かった
手鞄
(
てかばん
)
と
袱紗
(
ふくさ
)
包みとを取り落とさんばかりにぶら下げたまま
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
あんな見すぼらしい着物をつけながら、平気で大きい貨幣をポケットから引き出し、
木靴
(
きぐつ
)
をはいた
小婢
(
こおんな
)
に大きな人形を
奢
(
おご
)
ってやるその男は、確かに素敵なまた恐ろしい
爺
(
じい
)
さんに違いなかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
小婢
(
こおんな
)
の利休の音も、すぐ表ての四条通ではこんなふうには響かなかった。
ある心の風景
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
伊東の声にびっくりしたように、勝手口から飛び出してきた
小婢
(
こおんな
)
は
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
隠居は、
附
(
つ
)
き
添
(
そ
)
ってきた
小婢
(
こおんな
)
から包みを受け取ると、ゆっくりかかって一つ一つ取り出した。地方からの珍らしい
到来物
(
とうらいもの
)
で、自分の分を今まで取っておいて、二人を喜ばせようと持ってきたのだった。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
「娘さんも
小婢
(
こおんな
)
も遁がした。
下女
(
おさん
)
どんは一所に手伝った。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
小婢
(
こおんな
)
の手びきで、頭巾を
眉深
(
まぶか
)
にかぶった色坊主が、不敵にも、ほとんど一晩おきに、人妻の秘室へ忍び通うという不義の甘味を
偸
(
ぬす
)
んでいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小婢
(
こおんな
)
が茶を運んで来た。菓子が無いので、有り合せの
梨
(
なし
)
を
剥
(
む
)
き、数が無いので小さく切って、
小楊枝
(
こようじ
)
を
添
(
そ
)
えて出した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
お高が、
小婢
(
こおんな
)
に送られて、おせい様の玄関を出ようとしていると、入れ違いに、おせい様と同じ年配の、やはり裕福な商家のおかみらしい、
粋
(
いき
)
なつくりの女が、おせい様を訪れて来た。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
女は帰って、すぐ彼は「ビール」と
小婢
(
こおんな
)
に言いつけた。
ある心の風景
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
このさまを見て、
小婢
(
こおんな
)
の
迎児
(
げいじ
)
は、縄目のまま灌木の中を跳び出して逃げかけた。一
閃
(
せん
)
、楊雄は躍ッて迎児を斬り伏せ、返すやいな、その血刀で
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
而
(
そう
)
しておの/\糸経を
被
(
かぶ
)
り、男が二人のぬいだ日和下駄を
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
にして腰につけ、
小婢
(
こおんな
)
にみやげの折詰
二箇
(
ふたつ
)
半巾
(
はんかち
)
に包んで片手にぶら下げて、尻高々とからげれば
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
お高は、
鳥居丹波守
(
とりいたんばのかみ
)
の上屋敷と
上野
(
こうずけ
)
御家来衆のお長屋のあいだを抜けて、拝領町屋の横町へ出て、雑賀屋のおせい様ときくと、すぐにわかった。細い千本
格子
(
こうし
)
をあけると、十六、七の
小婢
(
こおんな
)
が出てきた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
婢
漢検1級
部首:⼥
11画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父