宮殿きゅうでん)” の例文
案内あんないの先生はいやな顔をしてそこらを見回して、それからその「ジン酒の宮殿きゅうでん」の回転ドアを開けて中へはいった。わたしたちはあとにつづいた。
そこでひとりの男が総代そうだいとなって、王様の住んでいられる宮殿きゅうでんへまいりました。そして、王様にこうもうし上げたんです。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
地獄ぢごく夜叉やしゃ肉體からだには何者なにものませうとや? あんな内容なかみにあのやうな表紙へうしけたほんがあらうか? あんな華麗りっぱ宮殿きゅうでん虚僞うそ譎詐いつはりすまはうとは!
寺を瓦葺かわらぶきといった言葉が伊勢神宮いせじんぐうにもあって、宮殿きゅうでんや神のおやしろでさえも、さいしょは瓦をつかってはいなかった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
子供こどもは、さきにたって、平三へいぞうおかうえ案内あんないしました。いつしか、子供こども姿すがたえなくなって、かれは、あかいガラスでつくられた宮殿きゅうでんまえっていました。
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
舞台には渓流けいりゅうあり、断崖だんがいあり、宮殿きゅうでんあり、茅屋ぼうおくあり、春のさくら、秋の紅葉もみじ、それらを取り取りに生かして使える。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ロロー殿下は、長良川博士にしばらく待っていてくれるようにたのんで、また宮殿きゅうでんの奥をさして姿を消した。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もどってみますと、こんどは、りっぱな宮殿きゅうでんでかこまれた大きな教会きょうかいのようなものがたっています。
わたしのは、ルーブル宮殿きゅうでんの中のあちこちの部屋の中へ入りこんでいきました。
「王様の宮殿きゅうでんは、美しいけれど、大理石の建物たてものがないのは、玉にきずだとある旅人たびびともうしていました。大理石のとうでもたてられてはいかがですか?」
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
わたしたちはいまイギリス人が「ジン酒の宮殿きゅうでん」とんでいる酒場の前の、ぬかるみの道に立った。
たちまち、どっと、おそって、このあかいガラスの宮殿きゅうでんにぶっつかったかとおもうと、さながらこおりをくだいたようなひびきをたて、みごとな建物たてものは、さんらんとして、空中くうちゅうに、ってしまいました。
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ではいってきます。」と巨男おおおとこはいって、やはり白鳥をつれ、南の方へ旅立ちました。巨男おおおとこの進むにつれて、宮殿きゅうでんにたまっていたくさりが少なくなりました。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「いいや」と親方はわらいながら答えた。「もう王さまだったじぶんにだよ。今度はじめてわたしはこの地方にやって来たのだ。わたしはその男が王さまだったナポリの宮殿きゅうでんで知り合いになったのだ」
とくりかえしながら、宮殿きゅうでんのほうへかえってゆきました。
王さまと靴屋 (新字新仮名) / 新美南吉(著)