宮城野みやぎの)” の例文
おな白石しろいし在所ざいしようまれなる、宮城野みやぎの信夫しのぶふを、芝居しばゐにてたるさへなにとやらむ初鰹はつがつをころうれしからず。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(三)おきのひとよ。おかさであるとまをげい。この宮城野みやぎのうへからふりちるつゆあめ以上いじようである。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
しかし、布施ふせさんといっしょに仙台から宮城野みやぎのを通り、荒浜まで歩いて、見わたすかぎり砂浜の続いたところに出て行った時ほど、心を打たれたこともありません。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この「愛卿伝」はすでに浅井了意によって「御伽婢子おとぎぼうこ」に「藤井清六遊女宮城野みやぎのめとる事」と題して翻案されており、「浅茅が宿」は「御伽婢子」をも参照している。
雨月物語:04 解説 (新字新仮名) / 鵜月洋(著)
この「愛卿伝」はすでに浅井了意によって「御伽婢子おとぎぼうこ」に「藤井清六遊女宮城野みやぎのめとる事」と題して翻案されており、「浅茅が宿」は「御伽婢子」をも参照している。
宮城野みやぎのの萩、末の松山まつやまの松、実方さねかた中将の墓にうる片葉のすすき野田のだ玉川たまがわよし名取なとりのたで、この五種を軸としたもので、今では一年の産額十万円に達していると云う。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
晩餐ばんさんが終ってから、美奈子は母と青年との三人で、よく散歩した。早川の断崖だんがいに添うた道を、底倉から木賀へ、時には宮城野みやぎのまで、岩にむせぶ早川の水声に、夏を忘れながら。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
宮城野みやぎの、しのぶは女ばかり、姉妹きょうだい二人で父の敵を、討ち取ったではござりませぬか」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「木の下露は雨にまされり(みさぶらひ御笠みかさと申せ宮城野みやぎのの)でございます」
源氏物語:15 蓬生 (新字新仮名) / 紫式部(著)
彼女は持って来た袱紗包ふくさづつみほどいて、きりの箱に入った、四五尺もあろうかと思う系譜の一巻を卓上に繰りひろげ、平家の残党として、数百年前にこの土地に居つき、爾来じらい宮城野みやぎのの豪族として
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
宮城野みやぎのはぎもちさえくえぬ身の
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
宮城野みやぎのの萩更科さらしなの蕎麦にいづれ
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
それまで歩きづめに歩いてほんとうの休息ということも知らなかったようなわたしは、ようやくのことで胸一ぱいによい空気を吸うことのできる宮城野みやぎののふところへ飛びこんだようなものでした。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
木賀を過ぎて宮城野みやぎの近くなったとき、青年は再び沈黙を破った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
宮城野みやぎのの小萩がもとと知らませばつゆも心を分かずぞあらまし
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かさまをせ。宮城野みやぎの下露したつゆは、あめにまされり
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
宮城野みやぎのの露吹き結ぶ風のおと小萩こはぎが上を思ひこそやれ
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宮城野みやぎのにまで迷ひきぬ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
第五章 宮城野みやぎの
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)